第97回日本医療機器学会大会

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Fri. Jun 3, 2022 3:15 PM - 3:45 PM ポスター会場 (アネックスホール フォワイエ)

[P9] 新しい末梢循環評価法の開発

安藤 ゆうき1, 武田 朴1, 笠井 亮祐1, 上條 史記1, 加納 敬1, 田中 裕香子1, 島峰 徹也1, 荻野 稔1, 下村 美文1, 田仲 浩平1, 日向 奈恵1, 篠原 一彦1, 伊藤 奈々2 (1.東京工科大学医療保健学部臨床工学科, 2.帝京大学福岡医療技術学部医療技術学科臨床工学コース)

人は血管とともに老いると言われ,血管の
状態を日常的に管理しておくことが,健康寿命
を延ばすために重要である.現在の血管管理は
脈波伝播時間により大動脈の動脈硬化度を測定
しているが,末梢循環の測定に関しては確立さ
れたものは少ない.我々は末梢側の血管の状
態を管理する目的で,循環器系の基本モデル
として有名なウインドケッセルモデル(WKモ
デル)を応用し,時定数測定を試みた.入力信
号をカフ脈波(BAPW),出力信号を指尖光電
脈波(PPG)とするWKモデルを作製し,非観
血的かつ容易にWKモデルの時定数測定をおこ
なった.BAPW測定には,血圧カフに圧力セ
ンサを接続して用い,市販の測定器には適切な
機器がないので,差動直流増幅器(増幅率:約
40dB,通過帯域:0.05Hz ~ 160Hz,交流障害
除去:50Hzノッチフィルタ)を,PPG測定に
は,パルスオキシメータ用センサを使用し,
電流増幅器(5V/1μA,通過帯域:0.05Hz
~ 160Hz,交流障害除去:50Hzノッチフィル
タ)をそれぞれ試作した.試作機でBAPWと
PPGを同時に40秒間測定し,サンプリング間
隔を1msecで分解能12bitのAD変換器(TUSD-
0412ADSM-S:タートル工業㈱)を用いてデジ
タル化した後,MATLABⓇ上で製作したスク
リプトを用いてFFTをおこない,それぞれの
波形の基本波と第二高調波の振幅を比較し,周
波数特性を推定し,時定数を算出した.19人の
対象(21 ~ 75歳,平均30歳±14.4)を測定し,
そのうち11人の時定数を得ることができた.時
定数が求められなかった原因はBAPWとPPG
の基本波比より第二高調波比のほうが大きかっ
たためである.WKモデルに従って考えると,
基本波比よりも第二高調波比のほうが小さいの
で,血管からカフに至るまでの伝達特性に原因
があると考えられる.測定能力を向上させるに
は血管からカフまでの伝達特性を補正する.あ
るいは,より伝達特性が優れていると考えられ
る体表から測定する圧脈波をBAPWの代用と
するなどの改良が必要である.