[P9] 新しい末梢循環評価法の開発
人は血管とともに老いると言われ,血管の
状態を日常的に管理しておくことが,健康寿命
を延ばすために重要である.現在の血管管理は
脈波伝播時間により大動脈の動脈硬化度を測定
しているが,末梢循環の測定に関しては確立さ
れたものは少ない.我々は末梢側の血管の状
態を管理する目的で,循環器系の基本モデル
として有名なウインドケッセルモデル(WKモ
デル)を応用し,時定数測定を試みた.入力信
号をカフ脈波(BAPW),出力信号を指尖光電
脈波(PPG)とするWKモデルを作製し,非観
血的かつ容易にWKモデルの時定数測定をおこ
なった.BAPW測定には,血圧カフに圧力セ
ンサを接続して用い,市販の測定器には適切な
機器がないので,差動直流増幅器(増幅率:約
40dB,通過帯域:0.05Hz ~ 160Hz,交流障害
除去:50Hzノッチフィルタ)を,PPG測定に
は,パルスオキシメータ用センサを使用し,
電流増幅器(5V/1μA,通過帯域:0.05Hz
~ 160Hz,交流障害除去:50Hzノッチフィル
タ)をそれぞれ試作した.試作機でBAPWと
PPGを同時に40秒間測定し,サンプリング間
隔を1msecで分解能12bitのAD変換器(TUSD-
0412ADSM-S:タートル工業㈱)を用いてデジ
タル化した後,MATLABⓇ上で製作したスク
リプトを用いてFFTをおこない,それぞれの
波形の基本波と第二高調波の振幅を比較し,周
波数特性を推定し,時定数を算出した.19人の
対象(21 ~ 75歳,平均30歳±14.4)を測定し,
そのうち11人の時定数を得ることができた.時
定数が求められなかった原因はBAPWとPPG
の基本波比より第二高調波比のほうが大きかっ
たためである.WKモデルに従って考えると,
基本波比よりも第二高調波比のほうが小さいの
で,血管からカフに至るまでの伝達特性に原因
があると考えられる.測定能力を向上させるに
は血管からカフまでの伝達特性を補正する.あ
るいは,より伝達特性が優れていると考えられ
る体表から測定する圧脈波をBAPWの代用と
するなどの改良が必要である.
状態を日常的に管理しておくことが,健康寿命
を延ばすために重要である.現在の血管管理は
脈波伝播時間により大動脈の動脈硬化度を測定
しているが,末梢循環の測定に関しては確立さ
れたものは少ない.我々は末梢側の血管の状
態を管理する目的で,循環器系の基本モデル
として有名なウインドケッセルモデル(WKモ
デル)を応用し,時定数測定を試みた.入力信
号をカフ脈波(BAPW),出力信号を指尖光電
脈波(PPG)とするWKモデルを作製し,非観
血的かつ容易にWKモデルの時定数測定をおこ
なった.BAPW測定には,血圧カフに圧力セ
ンサを接続して用い,市販の測定器には適切な
機器がないので,差動直流増幅器(増幅率:約
40dB,通過帯域:0.05Hz ~ 160Hz,交流障害
除去:50Hzノッチフィルタ)を,PPG測定に
は,パルスオキシメータ用センサを使用し,
電流増幅器(5V/1μA,通過帯域:0.05Hz
~ 160Hz,交流障害除去:50Hzノッチフィル
タ)をそれぞれ試作した.試作機でBAPWと
PPGを同時に40秒間測定し,サンプリング間
隔を1msecで分解能12bitのAD変換器(TUSD-
0412ADSM-S:タートル工業㈱)を用いてデジ
タル化した後,MATLABⓇ上で製作したスク
リプトを用いてFFTをおこない,それぞれの
波形の基本波と第二高調波の振幅を比較し,周
波数特性を推定し,時定数を算出した.19人の
対象(21 ~ 75歳,平均30歳±14.4)を測定し,
そのうち11人の時定数を得ることができた.時
定数が求められなかった原因はBAPWとPPG
の基本波比より第二高調波比のほうが大きかっ
たためである.WKモデルに従って考えると,
基本波比よりも第二高調波比のほうが小さいの
で,血管からカフに至るまでの伝達特性に原因
があると考えられる.測定能力を向上させるに
は血管からカフまでの伝達特性を補正する.あ
るいは,より伝達特性が優れていると考えられ
る体表から測定する圧脈波をBAPWの代用と
するなどの改良が必要である.