第97回日本医療機器学会大会

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Symposium

シンポジウム3 設置15年を迎えた医療機器安全管理責任者の現状と課題

Fri. Jun 3, 2022 4:00 PM - 5:30 PM 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:倉島 直樹(東京医科歯科大学),中島 章夫(杏林大学)

4:00 PM - 4:20 PM

[シンポジウム3] 医療機器安全管理業務を推進する際の障壁となりうる課題抽出のための調査結果

長江 祐吾1, 中島 勧2, 新 秀直1, 藤井 清孝3 (1.東京大学医学部附属病院 企画情報運営部, 2.埼玉医科大学総合医療センター, 3.北里大学医療衛生学部)

医療機器の安全管理は、医療機器安全管理責任者により管理されることが医療法で規定されているが、必ずしもその体制が十分に機能していないことがある。本研究では背景に何らかの構造的な課題があると仮定し、その課題を抽出する目的でアンケート調査を行った。なお、本研究はAMEDの医薬品等規制調和・評価研究事業 医療機関における医療機器等を安全に使用するための情報共有のあり方の研究の分担研究(分担研究者:中島勧)として行った。
 調査は全国の病院8,379施設に郵送で依頼した。調査期間は2021年3月1日から3月31日とした。質問は医療機器安全管理の活動状況を客観的に問う質問と、回答者の主観的な考えを問う質問の2つに大別した。
 回答数は1,415件、回収率は16.9%、有効回答数は1,319件だった。回答者は臨床工学技士が911名(69%)だった。医療機器安全管理業務を担当する臨床工学技士の配置人数は53%の病院で1名だった。担当する臨床工学技士の全業務に占める、医療機器安全管理業務の割合は78%の病院で50%未満だった。医療機器安全管理業務は、対象となる機器の範囲が広く専門性を問われることや、業務量が多く責任を伴う一方で、人員、権限、予算などの確保が十分でない課題点があげられた。
今回の調査で、臨床工学技士による医療機器の安全管理体制が広まりつつも、限られた環境で活動している状況にあり、活動の基盤となる制度上の改善が求められていることが分かった。