第97回日本医療機器学会大会

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Special lecture

特別講演2 DXによるヘルスケアの未来図

Fri. Jun 3, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:江島 豊(東北大学)

2:00 PM - 3:00 PM

[特別講演2] DXによるヘルスケアの未来図

堤 浩幸 (富士通㈱)

昨今の技術革新、またCOVIDや世界情勢の激変の中で、ヘルスケアの重要性はもちろんのこと、それによる社会イノベーションへの期待値は一層高まってきています。
私たちはFujitsu Uvanceという新たな事業ブランドの下で、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」というパーパスの実現に向けて既に動き出していますが、その重要要素の一つに「Healthy Living」が位置付けられています。私たちは「Healthy Living」という言葉の下で、あらゆる人のLife Experienceを最大化し、個人の可能性を拡張し続けられる世界を実現します。
それを実現のためのフォーカスするポイントは、「Self-reliant」、「Seamless」、「Enhance」、「Ignite」の4点であり、このフォーカスポイントから、あらゆる人のLife Experienceを最大化し、個人の可能性を拡張し続けられる世界への歩みを進めていきます。
Self-reliant:
自立を指します。これは自分の健康維持の主体は自分、病気になって急に医療の専門家に頼るのではなく、日常的に私たち自身が自分の健康を管理しリードできるようにしようということ。治療から予防へ。「病気になってからどうするか」ではなく「病気にならないようにする」。一人一人が自分の心身により集中し、『予防』に重点を置いた生活へとシフトしていきます。
Seamless:
ヘルスケアサービスが日常に溶け込んで、一人一人の健康を見守る未来。私たちは案外自分自身に無関心です。不調になってはじめて、異変に気が付く。しかし実際は日々の生活の中で、変化やサインは出ています。
自身の気が付かないところを私たちのサービスでケアすることで、意識しすぎず、無理せず自分を大切にできる。その仕組みを社会とつないでいきます。
Enhance:
医療や創薬のプロセスやアプローチの進化をエンカレッジし、治療計画やケアプラン、医療行為といった健康との付き合い方の選択肢を増やします。治験や創薬などのヘルスケア専門領域は、専門性が高い故に互いにつながることがなかなかできなかった。ですがテクノロジーと仕組みのリ・デザインによって閉じられていた業務を結び付け、業界の垣根を越えてノウハウが循環すれば、新しい情報や治療法が生まれ、私たちの元に届く。ノウハウの共有の輪が拡がり大きく展開します。
Ignite:
私たちの可能性を増やします。身体や精神、五感、人との関係を拡張し、制約を外して誰もがイキイキと活躍する未来。AIをはじめ、ARやMR・VR、ロボットテクノロジーにより、時間や空間を超えることが可能になりました。身体的、精神的なハードルは外され、どこにいても、どのような状態であっても、社会やアクティビティへの参加機会が開かれます。制約を理由に諦めたりするのではなく、その制約ごとはずして、ともに輝ける地点を探しあう。それぞれが踏み出す一歩を受容する社会へ進みます。

アドバンストコンピューティングをベースにオープン化、スタンダード化を促進し、人々の健康を支えるためデジタルエコシステムを拡大し、またAI、デジタルツインで世界の医療現場で診断支援を行うほか、さらに進化したDXで健康な生活を長期にわたり維持する、患者の早期回復をサポートする、さらに医療従事者のワークイノベーションを実現することなど、未来の医療体系を早期に創造することが今まさに求められています。
それとともに医療機器自体もDX、創薬の進歩やセンシング技術などの新技術を取り入れることで、大きな変革があると考えています。従来の医療機器が今後もそのままということはないということです。
さらに病院も位置づけが変わり、特化した治療に重点を置き、在宅モデルとのハイブリッドが一層進むものと思われます。病院自体のネーミングも変えたほうが良いかもしれません。

最終的に、皆が健康で、安心安全、さらに災害に強いソサエティを創ることが私たちの輝ける未来へと繋がります。皆さんとともにこの創造をご一緒できますことを期待しております。