第97回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

トレーサビリティ

トレーサビリティ

Sat. Jun 4, 2022 10:30 AM - 11:20 AM 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:久保田 英雄(東京医科歯科大学)

10:50 AM - 11:00 AM

[T72] T-DOC システムによる滅菌物管理のデジタル化とその効果

田中 知子, 上原 誉史 (ゲティンゲグループ・ジャパン㈱)

「トレーサビリティの確立」は滅菌管理業務
における大きな命題の一つとして掲げられてお
り,昨今では個々の器材をUDIで管理するなど,
さらにレベルの高い管理への要求も高くなりつ
つある.一方で,トレーサビリティをめざした
滅菌業務管理のデジタル化を進めることが困難
な状況である施設が多いことも現実としてあ
る.今回,トレーサビリティ確立に向けて,そ
の初期段階として機能と使用範囲を限定して導
入した「T-DOC」システムによる滅菌管理業
務のデジタル化がもたらした効果について紹介
する.効果の検証にあたっては,現在,すべて
人の手によるマニュアル管理を継続している施
設において,現状の作業内の内容,時間等を確
認・測定した後に,デジタル化の適用範囲と期
間を限定したT-DOCシステムを導入しその効
果を確認した.導入においては,以下の手順に
て実施した:1.既存情報から器材名等のマス
タデータを整備 2.滅菌登録機能を軸とした
T-DOCシステムを導入 3.ユーザトレーニ
ング 4.物品へのラベルを貼ると同時に滅菌
物の積載登録を開始 5.払い出し情報登録.
試用期間3ヶ月の運用の後,システム導入前の
状況と作業内容,作業時間を比較するととも
に,デジタル化により得られたデータの評価を
おこなった.結果として,マニュアル式の記録
ではばらつきのあった記録内容が標準化され,
獲得した情報がデータ化され,これまで「記録」
として眠るだけだった情報が「見える化」され
たことで,滅菌登録業務以外の部分への改善に
活用することが可能となった.また,導入前後
の比較から業務の負担軽減につながることも分
かった.今回,短期間かつ限定活用であったが,
トレーサビリティ確立の土台作りにつながった
と同時に,短期~長期的病院経営において,適
切な器材購入や適切な人材配置,および,根拠
のあるコスト削減につなげるための情報を得る
ことが可能であることが示唆される結果となっ
た.