第98回日本医療機器学会大会

Presentation information

Oral presentation

トレーサビリティ

トレーサビリティ

Sat. Jul 1, 2023 2:00 PM - 2:50 PM 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:河村 秀樹(静岡県立こども病院)

2:00 PM - 2:10 PM

[102] RFID を利用した医療機器管理システムの基礎検討

~タグ貼付場所による影響~

中島 章夫1, 鈴木 哲治1, 堀池 奈生2 (1.杏林大学保健学部臨床工学科, 2.杏林大学保健学研究科)

【はじめに】
現在,多くの病院で,バーコードによる医療機器管理が実施されている.一方,RFIDを利用したシステムは2000年初頭から散見されてきたが,その多くはアクティブタグと無線 LANの組合せであり,パッシブタグを用いた例は少ない.そこで本研究は,市販のパッシブタグ(以下タグ)を用いて,タグの医療機器への貼付場所による影響について検討することを目的とした.
【方法】
初めにタグ,リーダライタおよびアンテナ特性の確認(水平方向の読取り範囲)のため,タグを貼付した電流計を用いて計測した.次に,アンテナを天井に設置し,輸液ポンプをアンテナ直下に置いたときの床からの高さ,およびタグの貼付場所と読取り精度を検討した.最後に,アンテナを部屋出入口付近に設置し,タグを貼付した人工呼吸器等をリアルタイムに追跡可能か検証した.
【結果・考察】
タグを貼付した電流計で水平方向のアンテナ特性を確認した結果,正面:2.5m(100%),3m(80%), 左右角45度:4m(60%) の範囲で読取れた.輸液ポンプをアンテナ直下に置いた時,床から(高さ方向)100 ~ 120cmでヒンジ側以外にタグを貼付すれば全て読取れた.一方,ヒンジ側に貼付したタグは測定した高さ全条件で認識できなかった.タグを貼付した人工呼吸器等を移動させた結果,保管場所での存在確認はできたが,リアルタイムでの位置情報の追跡はできなかった.タグの貼付場所は,タグを隠して移動する可能性を考慮し,輸液ポンプ開閉レバー側や底面への貼付が可能と考えられた.
【終わりに】
本RFIDシステムは既報告と比べ,検知範囲で劣る一方,タグの貼付場所が,読取りに影響することを初めて明らかにした.また,リアルタイムでの移動追跡は困難であるが,保管場所での物品管理に利用可能であることが示唆された.今後,アンテナ設置位置とタグとの位置関係,各種医療機器での最適なタグの貼付場所について検討する予定である.