第98回日本医療機器学会大会

Presentation information

Oral presentation

洗浄

洗浄2

Fri. Jun 30, 2023 2:00 PM - 3:00 PM 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:松山 利秋(産業医科大学)

2:00 PM - 2:10 PM

[13] 洗浄評価のテストデバイスの作成における注意点

渡邉 哲也, 溝部 智之, 山崎 崇文 (三浦工業㈱)

【背景および目的】
「医療現場における滅菌保証のガイドライン 2021」(以下新ガイドライン)の発行に伴い,テストデバイスの標準的な作成方法が改訂された.改訂のポイントとして,止血鉗子のヒンジ/ボックスロック部を開いて塗布するヒツジ血液の配合及び量が変更となり,また,塗布乾燥後にヒンジ/ボックスロック部を閉じる手順が加わっている.このうち,閉じる手順の有無による洗浄評価への影響について,検証した.
【方法】
新ガイドラインに準拠したテストデバイスおよび閉じる手順を省いたテストデバイスを作成し,ウォッシャーディスインフェクター(以下WD)および減圧沸騰式洗浄器(以下減圧)にて,洗浄運転を実施した(下記テストA ~ D).洗浄後のテストデバイスに対して,BCA法による残留蛋白質量を定量した.
テストA 新ガイドラインに準拠したテストデバイスをWDで洗浄
テストB 閉じる手順を省いたテストデバイスをWDで洗浄
テストC 新ガイドラインに準拠したテストデバイスを減圧で洗浄
テストD 閉じる手順を省いたテストデバイスを減圧で洗浄
【結果および考察】
閉じる手順を省いたテストデバイスを目視確認すると,乾燥したヒツジ血液に亀裂が見られた.テストBの残留蛋白質は,200μg / RMDを超えていたが,テストA,C,Dの残留蛋白質は,100μg / RMD以下であった.テストBは,ヒツジ血液に亀裂がないため,洗浄液が浸透せず,洗浄不良になったと考えられる.一方,テストDは,ヒツジ血液に亀裂がなくても,減圧洗浄によりヒンジ/ボックスロック部に洗浄液が浸透し,良好な洗浄結果になったと考えられる.新ガイドライン記載のテストデバイスを使用する場合,ヒンジ/ボックスロック部の閉じる手順を省力せず,必ず実施しなければ洗浄評価が違った結果になることが分かった.一方,減圧洗浄は閉じる手順の影響はなく,隙間の汚れに対してWDよりも優れていることが分かった.