9:00 AM - 9:10 AM
[30] 救命率向上のための一体型薬液バッグ・輸液ラインシステムの開発
【背景と目的】
救急医療での静脈路確保と薬剤投与の遅れは救命率の低下につながる.静脈路確保の課題は,(1)輸液ラインの薬剤充填に平均100秒程度かかること,(2)気泡除去の必要性,(3)感染対策が挙げられる.そこで一体型で気泡を最小に抑えられる輸液ラインシステムを開発できれば,災害医療や救急医療現場の救命率の向上,医師や看護師の労力軽減,患者安全の向上につなげられる.本研究では(1)~(3)に着目し,救命率向上のための一体型薬液バッグ・輸液ラインシステムを開発し,医療現場における作業時間の短縮,感染リスクの軽減を明らかにすることを目的とする.
【方法】
実験は,(1)プロトタイプの設計・試作:輸液ライン薬剤充填後の横倒しによる保管時に気泡発生を抑える空気移動防止クランプ付きドリップチャンバー,および,薬剤バッグのビン針部に接続する他薬剤混注と薬剤バッグ交換を可能とする多機能アダプターを,3Dプリンタによる造形と,従来の輸液ラインデバイスの改良により試作する.(2)保管時の検証:本プロトタイプに薬剤を充填し,保管時とセットアップ時の気泡発生の評価をおこなう.(3)小規模試験:輸液ラインのセットアップ時間,薬剤バッグへの他薬剤の混注やバッグ交換の作業負担を測定する.
【結果および考察】
(1)プロトタイプを保管状態の横倒し状態から垂直状態とし,空気移動防止クランプ付きドリップチャンバーのクランプを開放,さらにクレンメ開放とした点滴開始によるドリップチャンバーの下部への気泡流入はなかった.(2)ビン針部に接続した多機能アダプターは,従来の混注と薬剤バッグ交換の操作に基づく使いやすく,かつ,感染対策を有する仕様を再現できた.本プロトタイプは薬剤投与開始までの大幅な時間短縮が可能であることが示唆された.本システムにより,医療従事者の労力軽減,患者安全性の高いシステマティックな構造をもって救急医療での救命率向上に寄与できると考える.
救急医療での静脈路確保と薬剤投与の遅れは救命率の低下につながる.静脈路確保の課題は,(1)輸液ラインの薬剤充填に平均100秒程度かかること,(2)気泡除去の必要性,(3)感染対策が挙げられる.そこで一体型で気泡を最小に抑えられる輸液ラインシステムを開発できれば,災害医療や救急医療現場の救命率の向上,医師や看護師の労力軽減,患者安全の向上につなげられる.本研究では(1)~(3)に着目し,救命率向上のための一体型薬液バッグ・輸液ラインシステムを開発し,医療現場における作業時間の短縮,感染リスクの軽減を明らかにすることを目的とする.
【方法】
実験は,(1)プロトタイプの設計・試作:輸液ライン薬剤充填後の横倒しによる保管時に気泡発生を抑える空気移動防止クランプ付きドリップチャンバー,および,薬剤バッグのビン針部に接続する他薬剤混注と薬剤バッグ交換を可能とする多機能アダプターを,3Dプリンタによる造形と,従来の輸液ラインデバイスの改良により試作する.(2)保管時の検証:本プロトタイプに薬剤を充填し,保管時とセットアップ時の気泡発生の評価をおこなう.(3)小規模試験:輸液ラインのセットアップ時間,薬剤バッグへの他薬剤の混注やバッグ交換の作業負担を測定する.
【結果および考察】
(1)プロトタイプを保管状態の横倒し状態から垂直状態とし,空気移動防止クランプ付きドリップチャンバーのクランプを開放,さらにクレンメ開放とした点滴開始によるドリップチャンバーの下部への気泡流入はなかった.(2)ビン針部に接続した多機能アダプターは,従来の混注と薬剤バッグ交換の操作に基づく使いやすく,かつ,感染対策を有する仕様を再現できた.本プロトタイプは薬剤投与開始までの大幅な時間短縮が可能であることが示唆された.本システムにより,医療従事者の労力軽減,患者安全性の高いシステマティックな構造をもって救急医療での救命率向上に寄与できると考える.