第98回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

検査・呼吸機器

検査・呼吸機器

Fri. Jun 30, 2023 10:20 AM - 11:20 AM 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:真茅 孝志(純真学園大学)

10:20 AM - 10:30 AM

[37] 心拍変動評価におけるリサンプリング周波数とスペクトル解析手法の差異検討

山本 諄1, 原 翔太1, 平手 裕市2, 中井 浩司2, 小嶋 和恵2, 松井 藤五郎3 (1.中部大学大学院生命健康科学研究科生命医科学専攻, 2.中部大学生命健康科学部臨床工学科, 3.中部大学工学部情報工学科)

【背景】
心拍変動周波数解析とは,心電図からR-R間隔の周期的揺らぎを算出し,自律神経活動を定量評価する手法のことである.しかし,ノイズ処理やリサンプリング周波数,スペクトル解析手法などが研究者の裁量によって実験毎に定められており,各種設定条件が研究結果に影響を及ぼしていると考えられる.
【目的】
異なるリサンプリング周波数とスペクトル解析手法で心拍変動を評価し,それらの設定が最終結果に及ぼす影響を検討する.
【方法】
Schellong testに準じた体位変換の心電図結果から,体動や不整脈によるノイズ混入が比較的少ない部分を抽出し,設定条件を変更しながら心拍変動周波数解析をおこなった.リサンプリング周波数は1-100 Hzの範囲で変更し, 各設定周波数につきFFT(Fast Fourier Transform) 法とAR(Autoregressive) 法で解析結果を比較した.詳細な設定を変更するため,一連のデータ処理には研究室独自の解析プログラムを用いた.
【結果】
リサンプリング周波数を高く設定するにつれて,FFT法では周波数成分のピークをより明瞭に観測できる例がみられた.同時に,AR法によるスペクトル解析では波形の平滑化が顕著となった.
【考察】
今回解析に用いた心電図結果の平均心拍数は周波数にして最大1.98 Hzであり,サンプリング定理を満足するためには,この2倍の3.96 Hz以上でリサンプリングをおこなう必要がある.このように比較的高い周波数でリサンプリングをおこなう際,AR法は波形の平滑化を防ぐために次数等を調整しなければならない一方,FFT法は設定をそのままに分解能を高めやすいというメリットが読み取れた.
【結語】
リサンプリング周波数の必要十分点が分かれば,スペクトル解析手法やその他設定の検討に有益である印象を受けた.今後も心拍変動評価の臨床的価値を高めるために,各種設定値の標準化を提案したい.