第98回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

電磁環境・電波管理

電磁環境・電波管理

Sat. Jul 1, 2023 9:50 AM - 10:30 AM 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:吉岡 淳(仙台赤十字病院)

10:00 AM - 10:10 AM

[61] 医用テレメータにおける電波障害の原因究明

夛田 和弘, 前田 一歩, 田中 美樹, 初川 雅俊 (君津中央病院)

【背景】
医用テレメータは患者の心電図や心拍数などの生体情報をモニタリングし,医療安全の観点からも欠かすことのできない医療機器である.2019年度,電波環境協議会にて「医療機関における適正な電波利用推進に関する調査」が実施され,「医用テレメータの電波に関するトラブル経験がある」と報告した施設が40.9%であった.当院も2021年頃から電波障害を経験し,原因究明を試みたため報告する.
【管理および方法】
当科では機器選定,機器登録,チャネル管理をおこない,時刻調整や清掃を主とした定期点検を実施している.不具合が発生した際の点検と修理依頼を担っている.電波障害発生後にスペクトラルアナライザを用い電界強度を測定し電波障害が発生するエリアをマッピングした.次に電波環境調査を製造販売業者へ依頼.総務省協議会事務局によるハンズオン支援を依頼し混信やノイズ調査を実施した.調査結果を検証しアンテナシステムの経年劣化が予想された.今回,アンテナシステムの増幅器のみを交換し,生体情報管理システムCAP-2100(日本光電社製)を用い,交換前後2週間を監視期間とし電波障害発生件数を比較した.統計学的検定には Mann-Whitney U検定を使用し有意水準を5%とした.
【結果】
増幅器交換前後の電波障害発生件数をMann- Whitney U検定にて比較し,p value=0.00000367と有意差を認めた.
【考察】
電波状況は時々刻々と変化するため原因究明には,長時間にわたっての解析が必要と考える.今回,経年劣化した増幅器を交換したことにより,2段階増幅器が不要と考え止めたことも電波障害の減少に繋がったと推測する.
【結語】
アンテナシステムも経年劣化するため,定期点検や必要に応じた機器交換が必須と考える.