第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌1

2023年7月1日(土) 09:00 〜 09:50 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:大川 博史(東京大学)

09:10 〜 09:20

[65] 改訂後のガイドラインに則った高圧蒸気滅菌バリデーションの取り組み

中川 真美, 沼田 典子, 藤島 宏美, 江島 豊 (東北大学病院 材料部)

【背景】
2021年に医療現場における滅菌保証のガイドラインが更新されたことを受け,当院でもガイドラインに則り,高圧蒸気滅菌(以下AC)バリデーションをおこなった.昨年までは業者に完全委託していたが,滅菌技師と協働してバリデーションを実施したので報告する.
【活動内容】
ガイドラインに沿って,ファミリー製品ごとにマスター製品を選定した.業者にデータロガーを準備してもらうことで,マスター製品内の温度測定も可能となったため,滅菌ラックの 10 ヶ所に加え,普段よりコールドスポットに配置しているPCDとして使用しているタオルパック内とマスター製品内にて温度,圧力,真空状態などの稼働状況と併せて製品内に入れた BI,CIの変化の確認をおこなった.
【結果・考察】
PQでは,マスター製品を滅菌困難な場所下段に配置し,かつ滅菌ラック積載重量が最大の場合でも,各プログラムで滅菌に必要な134℃ 3分は,十分に担保され,圧力,真空状態, BI,CIの変化も確認できた.プリオン対策プログラムでは,滅菌に必要な時間18分に対し数秒不足していたため,プログラムの滅菌時間を19分に修正した.整形ドリルセットや内視鏡鉗子セット等5個のマスター製品においてはタオルパックより,温度上昇が遅かったが, AMMIの国際規格であるタオルパックは今後も参考として確認していくこととした.今後も継続して年1回のバリデーションで滅菌装置が正常作動していることを証明し,日々,同じように圧力や温度,滅菌時間,真空状態などパラメータを恒常的に確認することができれば,滅菌の払い出し基準として,BI判定を待たずして払い出しをするPRの適用を検討できるのではないかと考えられた.PRの適用により現場への払い出し時間の短縮や,BIが不要になればコスト削減もできると考えられる.