パネルディスカッション5 医療関連サービスの現在・未来－理想と現実、そしてよりよい未来へ－

[パネルディスカッション5] 医療関連サービスにおける医療機器等の滅菌消毒の立場から

黒部 一宏 (日本ステリ㈱品質教育本部 教育部)

弊社は医療関連サービス業としてマル適の審査を受け、院内・院外滅菌業務、院内清掃業務のサービスを提供している。しかしながら、近年様々な外部要因・内部要因により、一定の質を維持できない施設が発生し、委託業者への信頼が揺らぎはじめている。
その要因として
１.最低賃金の上昇
２.労働人口の減少と人材採用難
３.契約書仕様書の認識のズレ
最低賃金が毎年30円ペースで上昇し、賃上げによる労務費の増加、人材の流出が避けられない状況である。また、2025年問題が迫る中、医師・看護師不足をはじめ、その下支えを担う委託業者においても深刻な人材不足に直面しており、全体的なスキル不足の影響により、質の低下が危惧される状況である。業務委託仕様書の認識のズレによる業務量の増加や時間外労働の問題についても触れておきたい。
これらの問題解決に向けて、人材定着の取り組み、一人一人の能力を高めるための継続的な専門教育が必要であること。ICT・DXによる業務の効率化、自動化にも早急に取り組まなければならない。看護師へのタスクシフトが進む中、単なる業者という立場でなく、信頼を得るメディカルパートナーとして取り組まなければならない課題について報告する。