第98回日本医療機器学会大会

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Presidential Lecture

大会長講演 「現状を把握してみんなでステップアップ」にこめた思い

Fri. Jun 30, 2023 11:20 AM - 12:00 PM 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:高階 雅紀(大阪大学)

11:20 AM - 12:00 PM

[大会長講演] 「現状を把握してみんなでステップアップ」にこめた思い

深柄 和彦 (東京大学医学部附属病院 手術部)

本学会の第98回大会長を拝命している今の自分の立場や仕事場における職位を考える時、いつも感じることは、「今の自分が立派なのではない。これまでに積み重ねてきたことが評価されてこの場にいるのだ。」ということだ。今の自分は昔のように一所懸命、勉強をしているのか、研究しているのか、みんなの役に立っているのか、と考えると、だいぶ怠け者になっている気がする。
私たちは、より良い明日を目指して、より良い未来を信じて、今日を生きている。それと同時に、現状を打開することだけに奔走して、未来に大きな負債を残し続けているのも事実かもしれない。これではいけないと思いながら無為に日々を生きている自分に気づく今日この頃である。明るい未来を考える時、現実でベストを尽くしていない自分がいる。
医療機器のめざましい発展と、数多くの職種の医療スタッフの力が今日を支えていることは言うまでもない。今後のこれらのさらなる発展を考える時、「ただ未来への憧れがあるだけではいけない、現実を見据えなければならない」と、今の自分の姿から感じた次第である。大会長の思い込みで勝手にテーマを決められたプログラム委員のみなさん、学会員のみなさんには大変申し訳ない限りと反省している。それでも人類の歴史が、過去と現在をよく振り返ることで前に進んできたことを考えると、結構、的を得たテーマなのではと思っていたりもする。
本学会はアカデミアと企業のみなさんが会員として集う、きわめて特徴的なスタイルである。アカデミアの会員も、医師、研究者、臨床工学技士、滅菌技士・師など幅広い領域にわたる。今日の医療の中で叫ばれている医工連携や他職種チームを何十年も前から体現してきた、先見性のある学会と言えよう。その一方で、その優位性、先見性を十分に活かし切れていない点も多い気がする。本講演では、本学会の現状、魅力、発展性について大会長の思うところを述べさせていただきたい。