第98回日本医療機器学会大会

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Symposium

シンポジウム3 医療機器における「もったいない」―医療の世界もSDGsを考える時代

Sat. Jul 1, 2023 2:00 PM - 3:25 PM 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:水谷 光(千船病院),林 正晃(第一医科株式会社)

2:40 PM - 2:50 PM

[シンポジウム3] サプライチェーン全体でのSDGsへの取り組み

島田 正司 (小西医療器㈱)

SPD事業という医療物流全般を担う業務において、大きく2つの「もったいない」という思いを日々痛感しております。
1つ目はゴミです。医療現場で1日に消費される量をパック(バラ)化し供給しますので、倉庫では段ボール・化粧箱・袋など大量のゴミが発生します。
殆どの医療機関でSPDを採用され、バラ化された医療材料が供給されています。
ゴミとなる副資材(段ボール・化粧箱・袋)は、タダでしょうか? 答えはNoです。
卸業者は副資材込みの価格で医療材料を購入し、医療機関も同様に副資材込みの価格で単価契約等により購入されます。そして、その副資材はお金を払って契約ゴミ回収業者に引取って貰っているのが現状です。
メーカ⇒卸業者⇒医療機関において、この現状は誰も幸せでないと考えます。
今の荷姿を検討した時代と、現在の医療機関へ供給されるまでの物流網や院内物流の現状が果たして合っているのでしょうか? 過剰包装ということはないのでしょうか?
国際輸送の梱包基準等もあると思われるので、段ボールをダブルカートンからシングルカートンにすることは厳しいかも知れませんが、袋も含め厚みを薄くする等の素材についての工夫や、過剰包装のみならず過剰印刷も医療安全に関わる必要最低限の印字にする等の議論がおこなわれても良いのではと考えます。
そして、次が医療材料の期限切れによる医療廃棄物の問題です。
一体、業界全体で金額にするといくらの医療廃棄が毎年発生しているのでしょうか?
他産業、特に日常生活で身近な食品の場合、期限切迫の商品はディスカウントし少しでもロスを無くそうと早くから取り組んでおられます。それでもマスコミでは、食品ロスついて大きく問題視する報道がされています。
何故、医療は大きく問題視されないのでしょうか? 特別だからでしょうか?
昨日まで何の問題もなく来たので今日も同じことの繰返し、明日は変わるのか? 同じ繰返し。が、今日まで続いてきただけなのではないでしょうか?
何らかの事情により使用しなくなった医療材料は大半が期限切れになるのを待っている状態。一方同じ医療材料が別の医療機関では発注され使用されている。であれば、使用されず期限切れを待っているだけの可哀そうな医療材料を、使用して頂ける医療機関に回せばロスが削減されるのではないでしょうか?
原油高騰による物価高騰、ロシア・ウクライナ問題による世界的サプライチェーン混乱の現状において、過去からの仕組みや調達方法が益々厳しさを増す医療業界において変革する時期に来ているのではないでしょうか?
医療材料共通管理(共同物流・情報の可視化)の実現に向け、常に「もったいない」を意識し一歩ずつ前進することが、医療業界の働き方改革(合理化)と医療の安全というテーマ実現になると考えます。