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[T83] 滅菌供給部門従事者向け 医療安全ハンドブックについて
滅菌供給部門(CSSD) で発生するエラーは,時に重大なインシデントにつながることがある.CSSDから滅菌物をリリースするための基準には,複数の防御壁が存在しているが,アクシデントの事例を調査するとヒューマンエラーなどにより防御壁をすり抜けて発生していることが確認できる.あるべき姿としては,未遂事故(ヒヤリハット・インシデント)の段階から情報共有をおこなうことが大切である.しかし,医療安全に関する基礎知識があれば,レポートの重要性やインシデント発生のメカニズムなどを理解することができるが,医療安全に対する理解や認識が低いとヒューマンエラーは単なる失敗と捉えられネガティブなイメージがあり誤解されることもある.ヒヤリハットやインシデントに遭遇しても報告やレポートの記入はペナルティー的な意味合いと誤解され提出しないことも考えられる.医療従事者は医療安全に関して標準化した教育を受ける機会があるが,CSSD従事者に関しては従事する施設や企業によって教育プログラムにばらつきがあり,基礎教育などの標準化が困難と考える.また,医療安全は学習範囲が広いことから,従事者向けや指導者や管理者に対するプログラムなどを準備しなければならないため負担も多いことが予測される.そこで,CSSD従事者に対して医療安全に関する基礎知識をまとめた冊子を作成した.冊子の内容は,用語の解説,危険予知訓練,事例から学ぶ原因調査の方法などとした.