第99回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

トレーサビリティ

トレーサビリティ

Fri. Jun 21, 2024 9:00 AM - 9:40 AM 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:久保田 英雄(東京医科歯科大学)

9:00 AM - 9:10 AM

[1] 医療機器へのUDI表示について

ー医療機器メーカへの要望ー

稲場 彩紀1, 落合 慈之2 (1.GS1 Japan, 2.東京医療保健大学)

我が国のGS1コードの表示率は医薬品ではほぼ100%,医療機器・材料についても90数%に達している.それにも拘らず,病院や薬局など医療現場でのその利用・普及が思うほどに進んでいないのはなぜなのだろう.よく理由として挙げられるのは1)トレーサビリティの確立が医療現場にもたらす意義や効果について,医療機関経営者や現場スタッフ間に十分伝わっていない.2)その意義や効果を理解し自動認識技術の利用に積極的な医療機関でも,既存のIT器機との接続が桎梏となり,in house codeの利用までがせいぜいで,GS1コード利用までには踏み切れない.などである.加えて本稿では,現行のメーカによるGS1コード表示の一部が,必ずしも医療現場のニーズに応える形になっていないこともその理由の一つとして指摘したい.例えば,固定機器であれば移動させなくても読み取れるよう,底面や裏面への表示はおこなわない.置き場所で表示部位が隠れるおそれのある製品であれば,一側面だけでなく左右の面にも表示する.製造工程により性能に差が生じうる材料についてはLotや使用期限も記す.滅菌して再利用するのが常態の器具に対しては,使用回数が把握できるよう製造年月日やシリアル番号も含めて器具本体への直接表示とする等々,真に必要なトレーサビリティが確保されるための考慮をして欲しいものである.先般の薬機法の改正により,トレーサビリティ向上を目的としてGS1バーコード表示が義務化された.それだけに,メーカにはバーコード表示に際し,政府が求める要件の最低限を満たすことをもって良とするのではなく,医療現場での利用も視野に入れた対応をしてもらいたい.日本医療機器学会としても,トレーサビリティの視点から,真にニーズを満たすコード表示はどうあるべきかを整理し,メーカや行政に働きかけていくべきではないだろうか.