第99回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

電磁環境・電波管理

電磁環境・電波管理

Sat. Jun 22, 2024 9:00 AM - 10:00 AM 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:楠本 繁崇(大阪大学)

9:00 AM - 9:10 AM

[102] 医用テレメータにおける簡易スペアナ画面情報の自動記録システムの構築

長田 優斗1, 本塚 旭2, 加納 隆3, 川邉 学1,2 (1.埼玉医科大学大学院医学研究科生体医工学分野, 2.埼玉医科大学保健医療学部臨床工学科, 3.滋慶医療科学大学大学院医療管理学研究科)

【背景・目的】
医療機関では医用テレメータの受信不良を防ぐ目的で定期的な受信状態の点検が求められているが,受信強度測定に必要なスペクトラムアナライザを所有する医療機関は少ない.そこで,先行研究においてセントラルモニタ(以下モニタ)に備わる簡易スペアナ機能の画面を,キャプチャボードを利用して取得し,その画像から画像処理によって各チャネルの受信電圧を定期的に読取って,それらを通信端末で閲覧できる自動記録システムを構築した.このシステムは特定のモニタ(DS-7640:フクダ電子)しか対応しておらず汎用性がなかった.そこで,他のモニタでも使用できるようシステムの改良をおこなった.
【方法】
従来のシステムはpythonコードに記載された座標をもとに簡易スペアナ画面のグラフ領域を切り取る方法であった.そのため,グラフ領域が異なる他のモニタでは受信電圧が取得できなかった.そこで,キャプチャ画像のグラフ領域をマウスのドラッグによって指定し,受信電圧を読取れるよう改良し汎用性を高めた.改良後の評価として,DS-7640,DS-7680W,DS- 7780W(全てフクダ電子)を使用し得られた電圧値と,目視で読取った値と比較した.さらに, MySQLサーバと公開用Webページによって値を時系列で確認できるようにした.
【結果・考察】
システムと目視の一致率はDS-7640 で72.2%, DS-7680Wで76%,DS-7780Wで80%であった.誤差は最大で2dBμVとなり改良前のシステムとほぼ同等となった.目視での読取り誤差を考慮すると本システムは十分な精度を有していると考える.また,Web上で電圧値の時系列グラフが閲覧できるようになり,医用テレメータの混信や電波切れ等のトラブルの発見に活用できると考える.
【結語】
特定のモニタしか対応しなかったシステムを改良し汎用性を高めることができた.未使用モニタと本システムを組み合わせることで電波環境の現状把握と電波トラブルの解決に寄与できると考える.