第99回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

電磁環境・電波管理

電磁環境・電波管理

Sat. Jun 22, 2024 9:00 AM - 10:00 AM 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:楠本 繁崇(大阪大学)

9:40 AM - 9:50 AM

[106] 小電力医療用テレメータの電波障害に対し電界強度計を用いて原因調査をおこなった事例

豊田 理水, 鈴木 克尚, 増井 浩史 (聖隷浜松病院 臨床工学室)

【はじめに】
小電力医療用テレメータは患者の生体情報をリアルタイムにスタッフステーションなどに伝える重要な機器である.今回,電波障害に対し,電界強度計を用いて原因の調査と対応をおこなったので報告する.
【経過および原因調査】
病棟看護師より生体情報モニタの電波が途切れるとの報告が来たため,生体情報モニタの保守機能内にある受信感度測定をおこなうと,テレメータの電源がOFFにも関わらず,受信状態を示す15dB以上のチャンネル(ch)が存在することを確認した.その後,電界強度計にて調査をおこなうと,新棟の建築現場から同様の周波数帯域の電波が強く発生していることが判明した.調査結果について建築準備室に報告し,建築業者へ確認をおこなった.
【電波障害の原因および対応】
建築現場の周辺では40dB以上の電波が発生しており,作業員が使用する無線機,クローラクレーンの逸走防止センサ,二つの機器が混信の原因であることが判明した.医療機器安全管理責任者,安全管理室に報告し,3000番台で混信の可能性があるchの使用を中止した.
【考察】
電波環境協議会から「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」では工事現場のクレーン・リモコンと離床センサ等に使用されている3000番台のchは重複しているため注意が必要であると注意喚起されている.今回は新棟建築で使用される逸走防止センサと無線機の電波が混信の原因であった.当院では過去に,300m以上離れた駐車場の駐車状況を把握する機器の電波が混信の原因で,3000番の1 chの使用を中止した経験がある.今回,新棟建築以外の周辺地域での工事も考慮し,3000番台の一部のchの使用を中止したことで,混信が発生する可能性を低減できたと思われる.しかし,今後テレメータの増数等により使用を中止したchの使用を再開する可能性もあるため,電界強度計による定期的なチェックをおこない,電波障害の予防に努めていきたい.