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[115] 機械学習を利用した近赤外ハイパースペクトラル腹腔鏡システムによる深部血管の可視化
癌に対する治療において,外科的切除は根治を期待しうる重要な治療であり,また,外科的手術は,より低侵襲に病変を取り除くことのできる腹腔鏡手術の要求が高まっている.そのため,今後,腹腔鏡手術をより安全,容易におこなうためには,切除してはいけない血管や神経などの重要組織の走行を認識できる手術支援システムの開発が必要である.現在,手術画像から解剖構造を機械学習で識別する研究が取り組まれているが,可視光の情報だけでは,表層しか認識できないことや,色や形の似た組織の識別が困難といった問題がある.そのため,機械学習が専門医の経験に基づく領域予測と同程度かそれ以上となるためには,可視光以外の情報も学習させる必要がある.近赤外(NIR)光,特に1,000-1,400nm波長は高い生体透過性を持っており,また,生体の分子振動のスペクトルが現れる領域である.そして,このスペクトルをカメラの各画素で取得する,ハイパースペクトラルイメージング(HSI)という技術を用い,機械学習による解析をおこなうことで,画像上に成分の分類を可視化することができる.しかし,これまでに腹腔鏡下で1,000nm以上のNIR-HSIをおこなった研究は報告されていない.そこで,我々のグループでは音響光学チューナブルフィルタ(AOTF)によって光源側の波長を切り替える方式でNIR-HSIが取得可能な腹腔鏡システムを開発した.本研究では,この開発したシステムを用い,生きたブタに対して開腹下でNIR-HSI(1,000-1,600nm)を2箇所別視野で取得した.そして,それぞれ血管,筋肉,脂肪とラベル付けして各画素のスペクトルを学習し,Leave One Out Cross Validationの条件下でニューラルネットワークのアルゴリズムを用いて分類した.その結果,腹膜に覆われて可視では認識の難しい深部血管をヒートマップで可視化することに成功した.本発表では,NIR-HSI腹腔鏡システムの詳細と識別結果について報告する.