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[17] 医療機器開発を支援する国際規格の策定
医療用立体モデルコンソーシアムは,2019年に企業と学術および公共機関により産業技術総合研究所内に設立した.その目的は金属,樹脂等を原料としたラピッドプロトタイピングに代表される短時間・高精細の造形技術で作成した生体臓器の実物モデルを,医療現場における患者説明,教育,手術シミュレーション,医療機器開発・評価に活用することである.本コンソーシアムは実物モデルの普及に向けた活動を国内外において積極的におこなっており,その活動の一つに実物モデルに関する国際規格策定がある.本報告では,当コンソーシアム会員が中心となり企画・策定した ISO 22926 Implants for surgery Specification and verification of synthetic anatomical bone models for testing(2023年7月刊行)について解説する.ISO 22926はインプラント医療機器の力学試験等に使用する模擬骨モデルに関する規格である.今後,医療機器開発を取り巻く社会情勢の変化により,従来のように生体由来の試料を使い続けることは困難になると言わざるを得ない.本規格では,医療機器開発に生体由来試料の代替として生体を模擬したモデルを使用する場合,医療機器に関する評価を妥当なものとするために必要な,モデルに関する検証・評価・情報の共有について留意すべき点を示している.本規格の特徴のひとつとしてモデルの特性を一まとめにするspecification reportの存在が挙げられる.Specification reportではモデルの用途,モデルの形状・構造,材料,特異な特性およびモデル使用時に考慮するべき点等を記載し情報共有することを推奨している.