第99回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

感染防止

感染防止

Fri. Jun 21, 2024 9:00 AM - 9:50 AM 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:一ノ渡 学(岩手医科大学)

9:20 AM - 9:30 AM

[20] プラズマバブル水の時間的な溶存活性種量とウイルス不活化効果の測定

大澤 泰樹1, 福智 魁1, 八井田 朱音1, 沖野 晃俊1, 松村 有里子2, 岩澤 篤郎2, 伊藤 典彦3 (1.東京工業大学未来産業技術研究所, 2.東京医療保健大学大学院医療保健学研究科, 3.鳥取大学農学部附属動物医療センター)

大気圧低温プラズマは室温から100℃程度の低温であり,反応性の高い様々な活性種を生成できるため,新しい殺菌手法として注目されている.プラズマを液中にバブリングすることで,活性種が溶存したプラズマバブル水(Plasma Bubbled-up Water: PBW)を作製できる.このPBWは一定時間殺菌効果を維持することがわかっており,溶存した活性種の寿命とともに毒性の少ない水に戻るため,生体への応用が期待できる.本研究では,PBWに溶存している各種活性種の時間変化を測定するとともに,病原体であるウイルスに対してPBWが与える不活化効果を評価した.実験では,殺菌に寄与する活性酸素種を多く生成できる酸素と二酸化炭素を用いてプラズマを生成し,多孔質ガラスフィルタを介して50mLの精製水に2分間バブリングすることでPBWを作製した.先行研究から,PBWを10分以上静置しても大腸菌に対して殺菌効果を示すことが明らかになっているため,比較的長寿命の活性種が溶存していると考え,まずオゾンの測定をおこなった.例えば,作製したPBWを静置時間ごとにインディゴ試薬と混合させて吸光光度を測定したところ,作製直後と10分間静置したときとでオゾンの溶存量には大きな変化がないことがわかった. PBWのウイルス不活化効果はほとんど報告されていないため,ノンエンベロープウイルスであるアデノウイルス8型の懸濁液とPBWを混合させる不活化実験をおこなった.作製した PBWを室温で静置し,静置時間ごとに採取した990µLのPBWと,感染価を約104 TCID50/mLに調製したウイルス懸濁液10µLを混合させて段階希釈をおこなった.その後,A549細胞に 10µL滴下し,37℃の5% CO2インキュベータで10日間培養後にTCID_50法を用いて感染価を評価した.その結果,作製直後の酸素PBWが,アデノウイルス8型の感染価を1桁以上減少させる効果を得られたが,時間経過によって効果が減衰し,60分間静置すると不活化効果を示さないことを明らかにした.