第99回日本医療機器学会大会

Presentation information

Oral presentation

滅菌

滅菌1

Fri. Jun 21, 2024 2:40 PM - 3:50 PM 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:谷口 優樹(東京大学)

3:10 PM - 3:20 PM

[32] 滅菌供給部門の空調が適切かは環境測定しないとわからない

水谷 光1, 中村 陽一2, 古西 一貴2 (1.千船病院 麻酔科・手術中材センター, 2.千船病院 管理科)

【目的】
滅菌供給部門(CSSD)の空調が適切であるかを確かめる.
【背景】
本学会『医療現場における滅菌保証のガイドライン2021』の「参考B.滅菌供給部門の施設基準」では,CSSDのゾーニングや換気管理基準について述べられている.当院のCSSDは,洗浄室,組立室,既滅菌室が物理的に壁で隔てられている.しかし2017年に新築移転してから演者の一人が赴任するまで,空調が適切であるかを確かめていなかった.
【方法】
手術部委員会において手術部とCSSDなどの環境測定の必要性を訴え,専門業者から見積もりを取り,予算を獲得した.予定手術のない土曜と日曜に,空気清浄度,HEPAフィルタ走査漏れ,換気回数,室間差圧などを測定した.
【結果】
空気清浄度と換気回数は適切であった.既滅菌室でHEPAフィルタ走査漏れがあり,その原因は金具の緩みであった.直ちに締め直して漏れは消失した.組立室に,HEPAフィルタを介さない外気が入ってきている吹き出し口があった.洗浄室と組立室の室間差圧がゼロであった.これらについては,空調担当者に改善を依頼した.
【考察】
これらの原因は判然としないが,いずれにしろ,供用の前に環境測定をおこなっていなかったことが明らかとなり,HEPAフィルタの性能は発揮されていなかった.本学会『医療現場における滅菌保証のガイドライン2021』と日本医療福祉設備協会『病院設備設計ガイドライン(空調設備編)HEAS-02-2022』で洗浄室は陰圧,組立室は陽圧を要求しているが,実現できていなかった.また,一回の測定だけではなく,これからも引き続き測定したい.
【結語】
環境測定により,CSSDの空調が適切でないことが判明し,対策につなげることができた.利益相反なし.