第99回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

災害報告・対策

災害報告・対策

Fri. Jun 21, 2024 4:00 PM - 4:40 PM 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:生田 義浩(熊本大学)

4:20 PM - 4:30 PM

[38] 災害に備えた地域の病院材料部連携の取り組み

彦坂 宗平 (浜松医科大学医学部附属病院 材料部)

【はじめに】
病院材料部で医療器材の洗浄・滅菌をおこなうには,電気,蒸気,水,装置,洗剤,滅菌剤,建物,スタッフ等を必要とする.災害発生時はこれらが欠けることで洗浄・滅菌不可となり得る.複数の施設で協力できれば一施設ではできなかったことが可能となり,地域の医療継続に資すると考え,2012年に静岡県西部病院材料部連絡協議会を設立していた.これまでの災害時被害状況共有ツールをFAXから安否確認サービスに変更し双方向での情報共有環境を整えたため報告する.
【方法】
浜松市が導入している安否確認サービスを使用し,会に参加する12施設に,震度5弱以上の地震発生時に被害状況設問フォームが自動的に送られるよう設定.設問内容は設備倒壊の有無,ライフライン,装置の稼働,滅菌剤・洗剤の在庫状況,他施設からの器材受け入れの可否とした.また互いに回答結果を閲覧可能とした. 2023年11月,12月にテストメールを送信し回答状況を確認した.
【結果】
1回目,2回目と12施設中11施設から回答を得た.1回目は各施設から集計結果の閲覧ができず,設定を修正して2回目では可能となった.
【考察】
約9割の施設から速やかに回答があった.メールに返信する作業はFAXと比べて簡便であった.集計結果閲覧機能は「情報共有」を容易にし,施設間での滅菌剤等の融通や滅菌依頼等をおこなう際の一助となり得ると考える. EMIS(広域災害救急医療情報システム)では医療機関の洗浄・滅菌機能については言及がなく,現時点では災害時に被災地の洗浄・滅菌機能を評価する術は確立されていない.今回行政も参加し内容を閲覧可能としていることで,公的支援検討ツールにもなり得ると考える.
【課題】
コロナ禍で協議会が中断し,再開にあたって連絡の取れない施設が複数あった.担当者が変わっても会が継続する仕組みが必要.
【結語】
安否確認サービスを活用した材料部の災害時被害情報共有システムは,災害時の地域医療継続の一助となり得る.