第99回日本医療機器学会大会

Presentation information

Oral presentation

手術室

手術室

Fri. Jun 21, 2024 9:00 AM - 10:10 AM 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:野田 剛広(大阪大学)

9:00 AM - 9:10 AM

[40] 手術支援ロボットの導入を経験して

~臨床工学技士としての工夫~

古田 優花, 嶋崎 公司 (名古屋記念財団 名古屋記念病院)

【背景と目的】
2023年5月に手術支援ロボットda Vinci(以下ダビンチ)を導入し,2024年1月現在までに外科・婦人科・泌尿器科で使用し,87症例を経験した.特に大きなトラブルなくおこなっているが,電気設備の問題や,当院で経験したトラブルや配線の工夫等について報告する.
【内容と方法】
1.電源の問題
当院の手術室は古く,ダビンチを導入するにあたり,手術室・中央材料室ともに電気設備の見直しからおこなわなければならず,滅菌洗浄機器選定後のブレーカの交換や,初症例直前の電源追加が必要となった.
2.狭い手術室での配線の工夫
当院の手術室は狭く,ダビンチが使用可能と判断された一番広い部屋でも,幅が最大で 4.4mであった.狭さを利用して,ケーブル類は可能な限り壁に配線し,扉部分は上を通し,人・機器の動線に干渉しないよう工夫した.
3.SDIケーブルの不具合
2023年8月,サブモニタの映像にノイズが発生し,現象は高画質ではノイズが発生し時々ブラックアウト,低画質では問題なく映像伝搬できた.原因はSDIケーブル内部の接触不良と判明し,固定用ケーブルから移動用ケーブルへ変更した.
4.洗浄用チューブの工夫
ダビンチのインストゥルメントを洗浄するにあたり,洗浄滅菌機器と共にシンクも更新した.当院の中央材料室の水道は0.4Mpaと水圧が高く,鉗子洗浄用の専用チューブの取扱いがとても困難であったため,水量調整のできるガンタイプへ変更した.
【結果とまとめ】
ダビンチを導入して8ヶ月,臨床的な手技の習得と共に,トラブル等を通して病院設備への関わりを見直す良い機会となった.ダビンチを導入するにあたっても,手術室や医療機器の配置面積,必要な電力量の計算や洗浄滅菌設備の検討など,臨床工学技士が病院設備により深く関わることで,医療の質と安全の向上に貢献できたと考える.