第99回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

医工連携

医工連携

Fri. Jun 21, 2024 3:30 PM - 4:20 PM 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:堀 純也(岡山理科大学)

3:40 PM - 3:50 PM

[59] 電子ビームを利用した鋼製小物加工の評価

清水 広太 (三菱京都病院 診療技術部臨床工学科)

【背景】
手術室・中央材料室の運営スタッフにとって鋼製小物の管理は神経を使う作業である.どんなに神経を使って管理をおこなっていても手術器械の破損は免れない.当院でもその例に漏れず,頻度としては多くないものの破損を起こすことがあり鋼製小物の管理には頭を悩ませていた.自分たちで考えた対策としては,二次元バーコードを利用した手術器械管理システムを導入し活用していくしかないと考えていた.そんな折に京都府の医工連携の取り組みの中で相談したところ,工業的な傷やクラックを早期に発見できる方法を教えてもらったが,医療の現場では活用するのは難しいものであった.そんな中で,いち早く鋼製小物の破損を発見するのではなく,鋼製小物を破損しにくいように錆に対して耐久力を上げることができたら良いのではないかと提案を受けてあるメーカを紹介して頂いた.それが電子ビーム(以下EB)を利用した加工技術であった.
【目的】
EB加工技術を使用し鋼製小物が錆に対して,どのような耐性・強度を持つのかの実験をおこなった.
【方法】
5種類計10本の鋼製小物(全て新品未使用)を各種1本ずつEB加工したものと未加工のものに分け,焼付処理後に0.9%生理食塩水に100分間の浸漬,洗浄,高圧蒸気滅菌を1サイクルとして50回繰り返した.
【結果】
実験の結果はEBで加工した鋼製小物と何も施していない鋼製小物では,EB加工を施した方が錆びにくいという結果が出た.
【考察および結語】
今回,医工連携の取り組みを通じて鋼製小物に対してEB加工をおこなうという機会を得ることができた.錆に対して有用であることは示せたが,病院・施設が鋼製小物を購入した後に EB加工をおこなうというのは,PL法・メーカの修理不受理などの問題や鋼製小物の形状的な問題があり現実的ではない.メーカでの組み立て段階でEB加工をおこなうことができるようになれば世に広まっていくのではないかと考える.