10:00 AM - 10:10 AM
[64] OPA法における蛋白質測定量の経時変化の調査,および実用化への検討
【背景】
先行研究にて開発した,湿熱変性血液汚染物を40℃ 3.5時間で抽出,可溶化可能な抽出液(以下開発品)1)について,実用化に向けて蛋白質定量の経時的安定性を評価した.
【方法】
汚染物としてA羊血液(蛋白質量として約 3000μg),B水溶性成分を溶出させた羊血液およびC水希釈羊血液(蛋白質量として約200 μg)を用いた.各汚染物をステンレス板に塗布し,95℃ 10分間湿熱変性させ試験に使用した.抽出液は,1% SDS,1% SDSpH11,1% SDSpH13および開発品を用い40℃ 3.5時間抽出後,抽出液を室温に放置し,0,1,2時間後に抽出液に可溶化した蛋白質量をOPA法にて定量した.また,汚染物Cを鉗子のボックスロック部に塗布,95℃ 10分間湿熱変性させ,開発品にて40℃ 3.5時間抽出後,蛋白質量を測定した.
【結果】
Aでは全ての抽出液にて測定時間により蛋白質測定量が大幅に変動し,かつこれらの変動に時間や抽出液の特性との相関はなかった.BおよびCでは,時間経過に伴う大幅な蛋白質測定量の変動は見られなかった.
【考察】
蛋白質量が多量な際には測定タイミングにより蛋白質測定量が変動することがわかった.医療現場で洗浄後のRMDの洗浄評価において Aのように多量な蛋白質量が残留している例は非常に稀であり,測定タイミングによる蛋白質測定量の変動の可能性は低いと思われる.一方,研究等においては多量の血液に対して抽出,測定の検討を実施することがあり,蛋白質測定量の経時変化を把握したうえで試験を実施する必要があると考えられる.鉗子に塗布した汚染物に対する開発品の抽出能について,ステンレス板に塗布した場合と同程度の蛋白質量が抽出可能であった.よって,医療現場における洗浄評価の対象となり得る隙間や複雑な構造に入り込んだ変性血液汚染物に対して,開発品であれば抽出できる可能性が示唆された.
文献
1)中野結子ほか.熱変性蛋白質を抽出可能な抽出液の検討.医療機器学 9(3 2): 227-227, 2023.
先行研究にて開発した,湿熱変性血液汚染物を40℃ 3.5時間で抽出,可溶化可能な抽出液(以下開発品)1)について,実用化に向けて蛋白質定量の経時的安定性を評価した.
【方法】
汚染物としてA羊血液(蛋白質量として約 3000μg),B水溶性成分を溶出させた羊血液およびC水希釈羊血液(蛋白質量として約200 μg)を用いた.各汚染物をステンレス板に塗布し,95℃ 10分間湿熱変性させ試験に使用した.抽出液は,1% SDS,1% SDSpH11,1% SDSpH13および開発品を用い40℃ 3.5時間抽出後,抽出液を室温に放置し,0,1,2時間後に抽出液に可溶化した蛋白質量をOPA法にて定量した.また,汚染物Cを鉗子のボックスロック部に塗布,95℃ 10分間湿熱変性させ,開発品にて40℃ 3.5時間抽出後,蛋白質量を測定した.
【結果】
Aでは全ての抽出液にて測定時間により蛋白質測定量が大幅に変動し,かつこれらの変動に時間や抽出液の特性との相関はなかった.BおよびCでは,時間経過に伴う大幅な蛋白質測定量の変動は見られなかった.
【考察】
蛋白質量が多量な際には測定タイミングにより蛋白質測定量が変動することがわかった.医療現場で洗浄後のRMDの洗浄評価において Aのように多量な蛋白質量が残留している例は非常に稀であり,測定タイミングによる蛋白質測定量の変動の可能性は低いと思われる.一方,研究等においては多量の血液に対して抽出,測定の検討を実施することがあり,蛋白質測定量の経時変化を把握したうえで試験を実施する必要があると考えられる.鉗子に塗布した汚染物に対する開発品の抽出能について,ステンレス板に塗布した場合と同程度の蛋白質量が抽出可能であった.よって,医療現場における洗浄評価の対象となり得る隙間や複雑な構造に入り込んだ変性血液汚染物に対して,開発品であれば抽出できる可能性が示唆された.
文献
1)中野結子ほか.熱変性蛋白質を抽出可能な抽出液の検討.医療機器学 9(3 2): 227-227, 2023.