第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄

洗浄2

2024年6月22日(土) 09:50 〜 10:50 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:大西真裕(昭和大学藤が丘病院)

10:30 〜 10:40

[67] 医科歯科用器材シリコーン製トレイの洗浄評価

山口 千緒里1, 柏井 伸子1, 藤田 真治2 (1.グローバル医科歯科感染管理研究会, 2.京都機械工具㈱)

【目的】
歯科治療においてシリコーン製トレイを活用することは,高い薬剤耐性や滅菌可能に加え,器材のズレを防止して,金属間の接触音の発生を抑えることで,患者の不快感軽減につながる.歯科医院での一般的な再生処理方法で,使用後のシリコーン製トレイおよびステンレス製トレイとの洗浄比較検証をおこなった.
【材料および方法】
京都機械工具社製シリコーントレイおよび YDM 社製ステンレストレイ S を事前洗浄後,表面に羊血 20&micro ; L を塗布し,120分乾燥させた後,ミーレ社製ミーレジェットウォッシャー PG8591でアルカリ洗剤での5分の洗浄,クリーンケミカル社製蛋白質分解酵素配合洗浄剤SCLEANEMで20分間浸漬をしたものを用意した.20分間の水道水のみに浸漬したものを比較対象とした. 浸漬のすすぎはRO水2Lで3回おこなった. 洗浄評価は OPA法(o-Phthalaldehyde) にてクリーンケミカル社により実施した.シリコーン製トレイは,汚染物付着前にクリーンケミカル社製SCLERNCLAにてリフレッシュした.WDによる洗浄では,gke社製洗浄工程モニタリングインジケータを用いてモニタリングした.
【結果】
付着させた汚染物量はシリコーンおよびステンレス間で同量であったが,約3,000&micro ; gほどの差があり, 両者間共通で水→浸漬→WDの順で洗浄後の残留量が減少していた.
【考察】
ステンレス製に比べシリコーン製は周囲のヘリの部分に残留が認められたが,ヘリの高さや溝などによる形状や液体浸透性の影響が考えられる.そのため,浸漬時間の延長やブラッシングによる物理的加圧との組み合わせを考慮すべきである.
【結語】
歯科治療におけるシリコーン製トレイの活用は,患者および術者にとり有益であるが,確実な再生処理方法の確立が不可欠であり,本検証から各施設での人材や設備に合わせた洗浄方法の検討が必要となる.