第99回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

滅菌

滅菌2

Sat. Jun 22, 2024 11:00 AM - 12:00 PM 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:柴田義浩(国立病院機構再春医療センター)

11:10 AM - 11:20 AM

[70] 蒸気滅菌のバリデーションにおけるマスター製品の選定と温度測定の実際

橋本 素乃, 足立 沢実, 青崎 宜子, 大塚 有紗, 岡田 紗英, 田中 美香, 久保田 英雄 (東京医科歯科大学病院 材料部)

滅菌保証ガイドライン2021では,蒸気滅菌のPQ(稼働性能適格性確認)の実際として,マスター製品を選定し,温度測定(データロガー)などにて実測値を計測することが推奨されている.そこで当院でマスター製品を選定し,データロガーを使用したPQを実施したので報告する.マスター製品は,複数の器材について形状や素材を検討した結果,管腔構造を持ち金属とシリコンの複合素材を有する器材(分娩吸引カップ)と,金属製で内腔を有する器材(膣洗嘴管)の2つを選択した.無菌バリアシステムは滅菌コンテナを採用し,マスター製品の内腔と近傍にデータロガーを設置した.そのほかデータロガーは滅菌コンテナ内に収納し,最上段の隅1か所,および最下段の隅に設置した.試験条件は,予熱時間15分,真空工程3回,滅菌温度135℃,滅菌時間5分,乾燥時間8分とした.また,最大積載量を想定し,フルサイズコンテナ1個あたり重量にしてRMDを10kg積載し,滅菌台車に合計16コンテナ積載した.試験の再現性を担保するため,3回実施した.その結果,規定した滅菌温度の保持時間は,滅菌器毎に差があることが確認できた.また,1つの滅菌器内にデータロガーを複数箇所設置することで,設置場所による温度差異が確認できた.これらは装置の影響に加えて施設の配管も影響していると考えられた.また恒常的な滅菌の質保証として,継続的・定期的な実施が必要であると考えられた.今回の検証により,同じ施設内,同じ型式の装置であっても固体差および滅菌器内の場所による差があったことから, PQを滅菌器毎に3回実施することの意義と試験データの重要性が再確認できた.