第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌2

2024年6月22日(土) 11:00 〜 12:00 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:柴田義浩(国立病院機構再春医療センター)

11:30 〜 11:40

[72] 滅菌によるエンドトキシンおよび異常プリオンの不活化の実態

内藤 朋子1, 坂口 末廣2 (1.三浦工業㈱, 2.徳島大学先端酵素学研究所)

【目的】
再使用可能な医療器材には発熱性物質であるLPS(エンドトキシン)やプリオン病を引き起こす異常プリオンといった有害物質が付着している恐れがある.今回は,現状それらが滅菌によってどのくらい無害化(不活化)しているか調査した.
【方法】
(1)6病院の使用済剪刀を蒸気滅菌器または過酸化水素ガス滅菌器(XZ型)で処理し,HCPT法でエンドトキシンを測定した1).
(2)大腸菌由来のLPSを塗布した止血鉗子,鑷子,硬膜鈎を蒸気滅菌器または過酸化水素ガス滅菌器(XZ型)で処理し,LAL法でエンドトキシンを測定した.
(3)プリオン病を発症したマウスの脳乳剤を塗布したワイヤを,蒸気滅菌器または過酸化水素ガス滅菌器(XZ型)で処理し,各ワイヤをマウスの脳に挿入し,プリオン病発症の有無を調査した2).
【結果および考察】
蒸気滅菌および過酸化水素ガス滅菌で処理した使用済剪刀のエンドトキシン残留量は, FDAが定める限度値20EU/器材を下回っていた.止血鉗子,鑷子,硬膜鈎でも,蒸気滅菌および過酸化水素ガス滅菌で不活化効果が確認された.異常プリオンについても,蒸気滅菌および過酸化水素ガス滅菌で不活化効果が確認された.
医療現場における適切な洗浄および滅菌の実施により,エンドトキシンやプリオンを十分に不活化できていると考えられる.
【文献】
1)野村祐介ほか.洗浄・滅菌した再使用可能な医療機器に残留する発熱性物質の評価.医機学.2021. 9(1 9). 323-331.
2)Hideyuki Hara et al . Vaporized Hydrogen Peroxide and Ozone Gas Synergistically Reduce Prion Infectivity on Stainless Steel Wire. International Journal of Molecular Sciences. 2021. 22(6). 3268-3279.