9:20 AM - 9:30 AM
[85] インシデントに対する滅菌供給業務受託者としての取り組み
病院におけるCSSDで使用する無菌バリアシステムはバッグ・ラップ・コンテナ等の種類があるが,それぞれに長所および短所がある.我々はコンテナの再生処理としてWDにて洗浄処理をおこない,日常点検として外観やパッキンの目視確認,コンテナフィルタの装着をおこなっているが,2023年2月から約1年の間に滅菌後にコンテナフィルタが落下していた事象を 8件経験し,インシデントレポートを検証すると手術部へ供給する前にフィルタ落下を発見したケースの他に供給後に発見したケースもあった.コンテナフィルタが落下してしまった場合,滅菌が破綻したとみなし,使用不可とするため,状況によっては再滅菌および同一の器械セットを供給する対応ができるが,手術遅延,さらには手術中止という重大事象に発展する可能性がある.そのため,週1回開催している業務受託者と病院職員(材料部)によるインシデント検討会にて協議することとした.日常のメンテンナンス方法を再確認し,そのメンテナンス方法に基づき対象コンテナの検証をおこなった.その上でメーカ立会いの下,改めてメンテナンス方法および点検方法を学習し,作業手順書の改訂・従事者への教育および訓練を実施した.実施後は従事者一人一人が技術を習得し,実務に反映した.現在までコンテナフィルタ落下に関するインシデントは発生していないため,今回の取り組みは一定の効果があったと考える.インシデントに対する根本的な再発防止策には従事者側(受託者)・病院職員で協議することに加え,必要時に器材の特性・構造・素材などを熟知しているメーカなどを交えて再発防止に向けた対策に取り組むことが肝要と考える.