第99回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

医療安全対策

医療安全対策1

Sat. Jun 22, 2024 9:00 AM - 9:50 AM 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:内田 荘平(福岡看護大学)

9:30 AM - 9:40 AM

[86] どうにかしたいインシデント!医療安全研修の取り組み

西本 小雪1, 大出 めぐみ1, 岡田 瞳1, 久保木 修2, 齋藤 篤3 (1.ワタキューセイモア㈱, 2.スリーエム ジャパン㈱, 3.大阪大学医学部附属病院)

【背景】
滅菌供給部門(以下CSSD)の業務において短期間のうちにセットの組み間違いや異物混入といったインシデントが多発した.原因調査のためにヒアリングを実施した結果,スタッフの作業に対する当事者意識の欠如が見られたため,リスクマネジメントの一環として医療安全研修をおこなうことにした.
【方法】
CSSDおよび内視鏡部門のスタッフ50名に対して事前に再発防止策に関する意識調査をおこなった後,対面による研修を実施した.研修は社外講師から医療安全に関する用語やインシデント発生のメカニズムなどについて解説があった.研修後には理解度を確認するためミニテストと,事前に実施したものと同様の調査を実施した.
【結果】
事前調査では94 %のスタッフがトリプルチェックに効果が期待できる・やや効果があるという回答をしていた.しかし,研修後の意識調査ではあまり効果が期待できない・効果が期待できないという回答が80%を占め,スタッフの意識改善に人が多く介在すると手抜きやエラーなどが多くなるという研修の効果が見られたことが分かった.また,自由回答の感想では,「今回のような研修を定期的に開催してほしい」という意欲的な意見も見られた.
【考察】
ヒューマンエラー防止のためには,リスクを認識し危険予知やリスク回避といった意識的行動をする必要がある.そのために今回実施した医療安全研修を引き続き実施していくことは有用であると考えるが,スタッフの意識や能力把握をどのような頻度・方法で実施していくかは今後の課題である.また,研修を通じて現場リーダーを含め管理者側のリスクマネジメント能力のさらなる向上と日々の発信方法も工夫が必要であるということが分かった.この点に関しては一つ目の取り組みとして,管理者に対しては具体事例を用いたワーキング研修を実施することを検討している.