第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療機器管理

医療機器管理1

2024年6月22日(土) 14:00 〜 15:10 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:髙橋 典彦(岩見沢市立総合病院)

15:00 〜 15:10

[94] スマートグラスを用いた薬液ポンプ流量設定ミス低減方法の検討

池田 朋美1, 中川 隆文2, 工藤 哲2 (1.高松市立みんなの病院 医療技術局 臨床工学科, 2.徳島文理大学保健福祉学部臨床工学科)

【目的】
臨床現場において薬液を患者に投与するためにシリンジポンプや輸液ポンプなどの薬液ポンプが使われている.これらのポンプ使用時の操作ミスや設定ミスなどの人的ミスは深刻な事故を引き起こす可能性がある.そのため医薬品医療機器総合機構のウェブサイトや厚生労働省の厚生労働科学研究成果データベースで注意が喚起されている.これらに記載されている人的ミスには以下の3つがある.(1)入力ミス;流量設定時の小数点や桁数の入力間違い.(2)伝達ミス;薬液の変更とともに薬液の種類や流量が変更されたが時間経過とともにうっかり忘れた.(3)操作手順のミス;スタートボタンの押し忘れなどの手順忘れ.本研究の目的は,これら薬液ポンプに関連する人的ミスを減少させ,業務の効率化を図ることである.そのためにカメラを搭載したスマートグラスを用いて,設定値を読み取り指示データと照合するシステムを試作し,使い勝手などを評価したので報告する.
【方法】
スマートグラス(EPSON MOVERIO BT- 35E)は解析用PC(MacBookPro)と直接ケーブルで接続されている.畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使用してポンプの表示部を検出し,OCRにより,表示部の数値を読み取り指示データと照合する.CNNとOCRはオープンソースプログラムを使用する.ハンズフリーな操作をおこなうため音声を用いてプログラムを実行する.
【結果とまとめ】
テルモ社製のシリンジポンプ(TE-332S)を使って動作を検証した.シリンジポンプが写ったカラー画像70枚を教師データとして準備しポンプ全体と表示部を学習した.カメラに映ったシリンジポンプの表示部を認識し,画像に映った7セグメントの数字を読み取り,設定値と比較した.システムを試作し一連の動作を確認することでスマートグラスに表示する情報内容やARによる指示ガイドの表示方法など改良が必要な点を明確化できた.