3:40 PM - 3:50 PM
[97] 機械学習を用いたME機器の貸出需要予測モデルの作成
【背景】
当院ではME機器管理システムを用いて,約 4,000台以上の機器を中央管理しており,効率的な運用に努めている.しかし,患者数や症例の状況によっては貸出不足などの状況を経験する.
【目的】
ME機器管理システムの貸出記録から将来の貸出数の予測が可能な貸出需要予測モデルの作成を試みた.
【方法】
対象機器は輸液ポンプ(IP:Infusion Pump)とシリンジポンプ(SP: Syringe Pump) とし,2018年4月1日から2023年12月31日の貸出記録を収集し学習データとした.開発環境はGoogle Colaboratory, 使 用 言 語 はPython 3.10.12でおこなった.収集した時系列データを ADF検定にて定常性を確認し,statsmodelsライブラリより時系列モデルSARIMAXを用いて予測モデルを作成した.目的変数にIPとSPのそれぞれ貸出数を入力し,説明変数として病床数,総患者数,病床稼働率,総貸出数,総返却数,IPとSPの返却数を入力した.予測モデルはグリッドサーチにてAIC(赤池情報量基準)が最小値を選択し,2023年12月のデータをテストデータとして平均絶対パーセント誤差(MAPE: Mean Absolute Percentage Error)を用いて評価をおこなった.
【結果】
総学習データは2,101個で, 予測モデルの MAPEはIPが12.78%,SPが13.31%であった.説明変数の影響の大きさを示す自己回帰係数は IPの予測モデルでは,病床数>IPの返却数>総返却数(0.585>0.546>0.406)の順に高く,SPではSPの返却数>総返却数>病床数(0.748> 0.244>0.240)の順に高かった.
【考察】
実際の予測された値を観察すると,予測値誤差を示すMAPEはほとんどが約10%であったが,同予測モデルを運用するとIPでは最大で約 80台の誤差を認め,貸出不足が起きえてしまう.誤差原因としては急激な貸出数の増加などの突発的なイベントに予測が追従できていなかった.予測の精度向上には説明変数の追加や,複数の時系列データを用いたVARモデルによる予測などの手法を試みる必要があると考える.
当院ではME機器管理システムを用いて,約 4,000台以上の機器を中央管理しており,効率的な運用に努めている.しかし,患者数や症例の状況によっては貸出不足などの状況を経験する.
【目的】
ME機器管理システムの貸出記録から将来の貸出数の予測が可能な貸出需要予測モデルの作成を試みた.
【方法】
対象機器は輸液ポンプ(IP:Infusion Pump)とシリンジポンプ(SP: Syringe Pump) とし,2018年4月1日から2023年12月31日の貸出記録を収集し学習データとした.開発環境はGoogle Colaboratory, 使 用 言 語 はPython 3.10.12でおこなった.収集した時系列データを ADF検定にて定常性を確認し,statsmodelsライブラリより時系列モデルSARIMAXを用いて予測モデルを作成した.目的変数にIPとSPのそれぞれ貸出数を入力し,説明変数として病床数,総患者数,病床稼働率,総貸出数,総返却数,IPとSPの返却数を入力した.予測モデルはグリッドサーチにてAIC(赤池情報量基準)が最小値を選択し,2023年12月のデータをテストデータとして平均絶対パーセント誤差(MAPE: Mean Absolute Percentage Error)を用いて評価をおこなった.
【結果】
総学習データは2,101個で, 予測モデルの MAPEはIPが12.78%,SPが13.31%であった.説明変数の影響の大きさを示す自己回帰係数は IPの予測モデルでは,病床数>IPの返却数>総返却数(0.585>0.546>0.406)の順に高く,SPではSPの返却数>総返却数>病床数(0.748> 0.244>0.240)の順に高かった.
【考察】
実際の予測された値を観察すると,予測値誤差を示すMAPEはほとんどが約10%であったが,同予測モデルを運用するとIPでは最大で約 80台の誤差を認め,貸出不足が起きえてしまう.誤差原因としては急激な貸出数の増加などの突発的なイベントに予測が追従できていなかった.予測の精度向上には説明変数の追加や,複数の時系列データを用いたVARモデルによる予測などの手法を試みる必要があると考える.