第99回日本医療機器学会大会

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Educational Lecture

教育講演1 バーコードをうまく活用できていますか―医療材料と体外診断用医薬品のGS1を使ってみよう

Fri. Jun 21, 2024 10:30 AM - 11:10 AM 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:臼杵 尚志(香川大学)

10:30 AM - 10:50 AM

[教育講演1] 医療材料の GS1 を使ってみよう

〜心臓カテーテル編〜

渡邉 研人 (JCHO 東京山手メディカルセンター 臨床工学部)

令和元年に施行された改正薬機法において,医薬品・医療機器へのバーコード表示が義務付けられた.国際標準として普及しているGS1バーコードの活用による取り違え防止およびトレーサビリティの向上が患者安全確保の観点から有用とし,流通に限らず医療現場における活用も期待されている.
当院の心臓カテーテル室では,虚血性疾患に対する冠動脈治療や下肢血管治療,不整脈疾患に対する不整脈アブレーション治療やデバイス植え込み治療において,多くの医療材料を使用しており,それらに貼付されたGS1バーコードを活用したシステムを運用している.システムの機能には,使用した医療材料の登録,滅菌期限切れ確認およびロット番号の記録機能を搭載し,滅菌期限切れ材料使用のインシデント防止や回収ロット対象患者検索に必要不可欠な存在となっている.導入後の効果として,滅菌期限切れ医療材料の使用前検出,ペースメーカ等のロット番号入力忘れ防止が確認できている.
さらに,発注遅れによる医療材料の欠品を経験したことから,登録した医療材料の一覧情報をスマホのチャットツールで業者担当者に通知する仕組みを構築した.この仕組みにより,業者担当者が来訪して使用物品を確認する手間を削減し,医療材料の発注および納品間隔の短縮が期待できる体制となった.
GS1バーコードの活用は,医療現場の質向上を可能にするだけでなく,医療機器業界全体の課題を解決するポテンシャルを備えている.今後普及する医療DXにおいても,インフラとして重要な役割を果たすことが予想され,院内外を問わず,その価値は高まっていくだろう.