第99回日本医療機器学会大会

Presentation information

Panel Discussion

パネルディスカッション1 モニター・アラーム対策を考える〜医療従事者と企業との協働を目指して〜

Fri. Jun 21, 2024 3:20 PM - 4:45 PM 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:谷口 雄司(鳥取大学),林 達哉(旭川医科大学)

3:34 PM - 3:48 PM

[パネルディスカッション1] 多職種で取り組む心電図モニタの安全管理

〜 Monitor Alarm Control Team(MACT)活動の有用性〜

冨田 晴樹 (社会医療法人さいたま市民医療センター 看護部)

心電図モニタ(以下モニタ)は,患者の生体情報管理には欠かせない機器である.しかし,不適切な管理下での使用による医療事故が後を絶たない.その背景として,モニタに関する教育や管理体制が整っていないことが挙げられる.当院も,かつてはモニタの明確な管理体制が存在しておらず,重大な関連インシデントも発生していた.その運用に危機感を覚えた臨床工学技士(以下CE)が,医療安全管理室と連携して2012年12月にモニタを安全に管理するためのチーム(Monitor Alarm Control Team:MACT)を発足させた.
MACTはモニタに関わる全ての職種(医師【内科,外科,小児科】,看護師,CE,医療安全,臨床検査技師,理学療法士,事務)で構成され,院長直下の組織として院内の全部署を対象に活動している.主な活動は,①5S活動,②アラームに迅速に対応できる環境構築(装着・離脱基準,アラーム設定の統一,病棟のどこからでもモニタを確認できるシステムの導入),③教育(毎日の部署でのモニタカンファレンス,MACTラウンド,研修)である.MACT活動前は,多い日で1日3000程のバイタルアラームが鳴動していた(循環器内科病棟).これは,1分間に約2回のアラーム鳴動であり,1日中アラームが鳴り続けている状況である.当然,全てのアラームへの対応は不可能であり,その状況がアラーム関連インシデントに繋がっていた.現在はMACT活動により,1日300回程度でバイタルアラームをコントロールしており,アラームが鳴動すれば,確実に対応できる環境となっている.
アラーム関連インシデントは,全国的にも問題とされ,根本的解決に向けた取り組みが急務である.当院ではMACT発足以降,約10年にわたってアラームに関連する重大インシデントの発生は無く,MACT活動は一つの解決に向けた取り組みの形であると考えている.当院の活動が,他の施設の参考になることを願っている.