9:45 AM - 10:00 AM
[シンポジウム1] 医療機器のユーザビリティテストは何を目指すのか
ユーザビリティテストとは,実際の機器(あるいはそのシミュレータ)を,典型的ユーザが典型的タスク実践のために,できる限り実際の実施場面に類似した環境下で利用する様子を「観察する」テスト方法である.その課題達成率や課題達成時間等を指標として計量的に用いる利用法も存在するが,「そのときユーザの認知的過程として何が生じていたか」すなわちユーザの問題解決過程を探索的に明らかにすることによって,当該機器のデザイン上の問題点を明らかにすると同時にその解決への豊かなヒントを得ることを目的とした質的アプローチも存在する.後者・認知的ユーザビリティテストでは,対象となる機器のテストであると同時に,「人はその課題をどのようにとらえ,実践しているのか,それはなぜか」という「人の側」の分析もおこなうこととなり,人の側の要因あるいは製品以外の環境要因の改善による医療安全の対策も同時に検討することが可能となる.発表では「ユーザビリティテスト実施のユーザ側からみたメリット」について考えたい.