第99回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

トレーサビリティ

トレーサビリティ

Fri. Jun 21, 2024 9:00 AM - 9:40 AM 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:久保田 英雄(東京医科歯科大学)

9:30 AM - 9:40 AM

[T4] 器械管理業務のDX 化(デジタル・トランスフォーメンション)の進め方

中野渡 寛之 (㈲東奥電気)

【背景】
もともと電気制御エンジニアを本業としていた私が,器械管理システム分野に参入して今年で10年目を迎えた.しかし,この10年を振り返ってみても,他業界が新型コロナの影響でリモートワークなどDX化が大きく進んだのに対し,器械管理のDX化はほとんど進んでいない.なぜいつまでたっても進まないのか,その原因と対策について持論を述べたいと思う.
【原因】
DX化が進まない原因はハッキリしている.それは,どこの病院も口をそろえて「予算がない」の一言.でも本当にそうだろうか.他業界出身の私にとって,医療界独特の考え方の一つにゼロイチ思考がある.ゼロイチ思考とは,物事を0か1かのどちらかでしか考えない両極端な思考のこと.予算がないと言っているのは,数千万から億単位もの予算をとらないと,器械管理のDX化ができないと思い込んでいることが原因として考えられる.
【対策】
例としてシステムを日常生活の移動手段に置き換えて考えてみよう.移動手段は自転車もあれば軽自動車,そして高価な4~5千万円もするスポーツカーまで色々ある.医療関係者が,予算がないと言っているのは,私からみると高価なスポーツカーでなければ移動手段ではないと言っているのと同じように思える.もちろん,それは大きな誤解である.数万円から購入できる自転車も役に立っているように,たとえ数万円の器械管理システムであっても,実際に600床を超える地域の中核病院で役立っている.自転車は自転車で便利な点があるように,小さなシステムであっても,ユーザの考え方,工夫次第で手術部や中材での器械管理業務を改善できる可能性を秘めている.
【結言】
現在はタブレット一台でも一昔前のサーバーの能力を凌ぐパフォーマンスを持っている.予算は大きいことに越したことはないが,当社では,小さな予算でも始められる器械管理業務のDX化をこれからも研究・開発していく所存である.