[EL13-1] PET/MRの現状と今後
画像診断の有用性は言うまでもなく,現在の医療においては欠くことのできない診断ツールとなっている.また,X線CT,MR,SPECT,PETあるいは超音波等のさまざまなモダリティがその特徴に応じて使い分けられているとともに,それらを融合したPET/CT,SPECT/CT等の装置も開発され使用されている.これらは,生体機能等を可視化できる核医学装置(PET, SPECT)と,解剖学的な構造を可視化して形態画像を得ることができるX線CT装置を組み合わせることでお互いの欠点を補った画像検査ができるものであり,臨床に広まっている. 近年,MRとPETを融合させたPET/MR装置の開発が進み,本邦で初めて本学に導入された.MRは形態画像のみならず生体機能の画像化することも可能である.これにPETが融合することにより,「MRを用いた形態画像」+「MRを用いた機能画像」+「PETを用いた機能画像」を同じ寝台で得ることが可能となる.また,本学の装置はPETとMRの同時測定が可能であり,複数生体機能の真の同時測定も可能である.本学ではPET/MRの保険適用がなされた2013年4月より本格的に稼働を開始し,診療に供している.保険診療のために症例に制約はあるが,実際に使用してさまざまな事実が見えてきた.また,世界的にはPET/MRのキラーアプリケーションを探している状況であると思うが,まさにこれだというものはまだ見つかっていない.そこで,本講演では臨床用PET/MR装置の実用化にかかる技術的側面および臨床経験を紹介すると共に,その今後について議論したい.