第42回日本磁気共鳴医学会大会

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教育講演

脳神経

教育講演7

脳神経2

Fri. Sep 19, 2014 8:30 AM - 9:30 AM 第2会場 (3F 源氏の間東)

座長:三木幸雄(大阪市立大学大学院医学研究科 放射線医学教室)

[EL7-2] 交連線維から覗く中枢神経疾患

森本笑子 (大阪赤十字病院 放射線診断科)

交連線維は左右の大脳半球の相同な皮質間を連絡する神経線維群であり、脳の正中に位置する構造である。大脳の多くの領域と繋がる構造であるため、脳梁は大脳の変化を集約して把握することができる部位とも言える。また、疾患に特徴的な形態の病変がみられる場合があり、診断に有用なことがある。この教育講演では交連線維の概説と、それに関連する疾患について紹介する。交連線維には脳梁、前交連、後交連、海馬交連/脳弓交連が存在し、これらすべては同じ交連板とよばれる構造から発生する。胎生7週において終脳の正中腹側にみられる終板が発達していき交連板を形成する。交連板からはまず前交連が形成され、ついで海馬交連、脳梁が形成される。脳梁自体の形成は腹側から背側に向けて進行するため、”front-to-back”と呼ばれる。このような発生形式の知識は交連線維の形成異常の理解に役立つ。交連線維の中で最も大きな構造である脳梁は、横断像においてその内部構造が確認しにくいこともあり、病変の存在やその形態について注目されることが少ない。しかし、脳梁病変は疾患に特徴的な分布と形態を示すことがある。Frieseらによってまとめられ、高橋昭喜先生によって改良された脳梁病変の5つの形態について説明し、これらと関連する疾患について脳梁の解剖を踏まえて解説を行う。前交連は嗅球やその核との連絡に重要な構造で、動物では高度に発達している。人類では嗅機能が退化したためかなり小さな構造であるが、海馬交連と共に、辺縁系を含む左右側頭葉間の連絡路として重要で、側頭葉てんかんでみられる側頭葉の両側性変化の原因でもある。あまり知られていないこの変化についても紹介する。