[LS-1] 脳MRI最近の進歩:dMRIとMulti-band EPIを中心に
MRIにおける拡散強調像(diffusion MR imaging以下、dMRI)は、既に広く臨床応用されており、その有用性は今さら説明するまでもない。ただし、従来のdMRIは多くが「拡散はガウス分布(正規分布)する」という仮定のもとでの計算画像あるいは定量値であり、実際の生態組織あるいは構造とは乖離がある。近年、非ガウス分布拡散によるDiffusional kurtosis imaging(以下,DKI)や、このような仮定を用いないq-space imaging (以下、QSI)のような撮像法が臨床でも用いられており、そこから得られる新たな拡散定量値からは,種々の疾患で病変検出の感度が優れている等、従来のdMRIより優れた、あるいは付加する情報が得られることが示されている。
ただし、このようなDKIやQSIといったadvanced dMRIには、従来のDTIなどの数倍のデータが必要である。つまり、必然的に撮像時間の延長を伴い、advanced dMRIの臨床での普及での妨げとなっている。従来の技術では、撮像時間そのものの短縮は困難であった。この解決法としては、データを間引いて撮像することで撮像時間を短縮し、そこから各種拡散画像や定量値を得る方法(圧縮センシングや異なるb値毎に異なるMPG数を励起する手法)もあるが、近年臨床機での導入がすすむmulti-band EPIは,複数スライスを同時励起する手法で,同一の繰り返し時間(TR)でより多くのスライスが撮像可能であることを利用して、実際の撮像時間短縮を実現している。すなわち、TRを短縮させても従来と同一のスライス数が撮像可能である。理論的にはかなり多くの枚数も同時撮像可能であるが、現段階では3スライス同時撮像が3Tでの臨床装置で妥当かつ安定した条件であると思われ、実際米国における大規模な脳研究である、ヒト脳コネクトームプロジェクト(http://www.humanconnectome.org/)においても、3スライス同時撮像が採用されている。Multi-band EPIにおいては、複数スライスを同時に実際に励起しているので、従来のparallel imagingのような信号雑音比の低下は原理上なく、advanced dMRIには今後必須な技術となると思われる。
ただし、このようなDKIやQSIといったadvanced dMRIには、従来のDTIなどの数倍のデータが必要である。つまり、必然的に撮像時間の延長を伴い、advanced dMRIの臨床での普及での妨げとなっている。従来の技術では、撮像時間そのものの短縮は困難であった。この解決法としては、データを間引いて撮像することで撮像時間を短縮し、そこから各種拡散画像や定量値を得る方法(圧縮センシングや異なるb値毎に異なるMPG数を励起する手法)もあるが、近年臨床機での導入がすすむmulti-band EPIは,複数スライスを同時励起する手法で,同一の繰り返し時間(TR)でより多くのスライスが撮像可能であることを利用して、実際の撮像時間短縮を実現している。すなわち、TRを短縮させても従来と同一のスライス数が撮像可能である。理論的にはかなり多くの枚数も同時撮像可能であるが、現段階では3スライス同時撮像が3Tでの臨床装置で妥当かつ安定した条件であると思われ、実際米国における大規模な脳研究である、ヒト脳コネクトームプロジェクト(http://www.humanconnectome.org/)においても、3スライス同時撮像が採用されている。Multi-band EPIにおいては、複数スライスを同時に実際に励起しているので、従来のparallel imagingのような信号雑音比の低下は原理上なく、advanced dMRIには今後必須な技術となると思われる。