[O-1-010] 酸素強調心臓MRIによる非虚血性心筋障害の評価
【目的】非虚血性心筋障害における酸素強調心臓MRIのT2*値と遅延造影T1強調像の信号値との関連を調べ、その有用性を明らかにする。【方法】対象は2013年9月から2014年3月に3-Tesla MRIにて酸素強調心臓MRIと遅延造影MRIを施行した非虚血性心疾患患者の連続20症例(拡張型心筋症6名, 原因不明の心不全14名)。心電図同期Black-Blood T2*強調短軸像を空気吸入時と酸素吸入時(15l/min)の両方で撮影、各々心室中隔においてTE=2.9msecにおける信号値(SI-air, SI-oxy)およびT2* 値(T2*-air, T2*-oxy, ΔT2*)を求め、ガドリニウム遅延造影(10min)における信号値(SI-Gd)との関係について調べた。また遅延造影陽性(SI-Gd>100)かつ中等度以上の心機能低下を示した群(n=7, BNP >100pg/ml)についてT2*値の変化を調べた。【結果】TE=2.9msecでSI-oxyはSI-airと比較して上昇し(p<0.05), この差分像から酸素強調心筋イメージの作成が可能であった。またΔT2*とSI-Gd(心筋線維化)は正の有意相関(rho=582, p<0.05)を示した。中等度以上の心機能低下を示した群では、酸素強調イメージでT2*値が有意に延長した(T2*air=21.7 (mean), T2*oxy=25.8, ΔT2*=4.2msec, p<0.05)。【結論】酸素強調心筋イメージのT2*延長(ΔT2*増加)は、心筋のBOLD効果を反映する。重度心不全や線維化心筋において、酸素負荷による心筋毛細血管内でのBOLD効果を強く認め、心筋酸素代謝低下や毛細血管床の相対的容量増加が示唆された。