[O-1-011] 局所励起を用いた高分解能のDiffusion Tensor Imagingによる頸椎圧迫性脊髄症の評価
【目的】Diffusion Tensor Imaging(以下DTI)は今までも頚椎圧迫性脊髄症の評価に用いられることがあったが、これまでの研究は1.5T以下で行われたものや、頚髄の矢状断での評価が多く解像度が低かった。そのため、DTIによる特定の脊髄伝導路の障害を評価している報告はほとんどない。そこで我々は2D RF Excitationを利用した局所励起法シーケンスであるFOCUSを用いて、低歪、高空間分解能なDTI撮像を行い、頚椎圧迫性脊髄症の評価を試みた。【方法】対象は本研究に対して同意を得た健常ボランティア5名、頚椎圧迫性脊髄症患者10名とした。装置はGE社製3.0T MRI、シーケンスはFOCUSを使用した。画像解析には, DTIStudio software (Johns Hopkins Medical Institute, Johns Hopkins University)を用いた。撮像条件はTR/TE:3000/74.9ms、FOV:14×0.3cm2、matrix=176×54、b値:700、軸数6、加算回数16である。撮像断面はClからT1の各椎体、椎間レベルで撮影した。関心領域(ROI)を脊髄全体と側索、後索に設定し、fractional anisotropy (FA)を計測した。またFAと臨床症状との関連を調査した。【成績】 従来の脊髄DTIよりもFOCUSを使用した脊髄DTIは解像度の改善が得られた。患者群では健常ボランティアに比べて脊髄全体と脊髄側索、後索それぞれでFAの低下を認めた。【結論】FOCUSを用いた脊髄DTIは特定の伝導路の評価が行うことができ、頚椎圧迫性脊髄症の質的診断の有用な手法となりうる。