[O-1-013] 視放線障害による同名半盲症例に対する皮質Myelin Mappingの検討
【目的】頭蓋内Myelinは、おもに軸索で構成される白質が主な分布をなす。一方、皮質内への軸索の投射は、皮質機能分布に依存し、一部の運動、感覚、連合野においては他の皮質機能領域に比較してMyelin含有の高いことが知られている。MRIではT1強調(1)またはT1およびT2強調画像(2)を用いて皮質Myelin Mappingが報告されている。われわれは、視放線障害による同名半盲症例に対して、T1およびT2強調画像から皮質Myelin Mapping(2)をおこない同手技が皮質の軸索投射を反映するかを検討した。【方法】対象は拡散テンソル画像にて視放線障害が確認された同名半盲患者2名で、病因はそれぞれ交通外傷(45歳男性)、脳出血(71歳男性)である。撮像には臨床用3T装置(SIEMENS社製MAGNETOM A Trio Tim、32チャンネル頭部コイル)をもちいた。拡散テンソル画像は、b=1000 sec/mm2空間分解能は1.5mm等方、拡散検出傾斜磁場は64方向に設定し、解析にはFSL、TrackVisを使用した。T1およびT2強調画像はそれぞれMPRAGE、SPACEにより空間分解能は1mm等方とした。Myelin MappingはT1強調像から皮質をFreeSurferにて抽出し、Caretをもちいて、先に抽出した皮質のT1強調像の信号値を、位置合わせで重ねたT2強調画像の皮質信号値で除し、その値を3次元再構成皮質上に展開した。【結果】拡散テンソル画像による同名半盲側の患側視放線のFA値はColor encoded FA で確認すると健側に比して低値であり、同名半盲に一致した。一方Myelin Mappingでは、1次視覚中枢の皮質Myelin含有は、健側に比して低値を示し拡散テンソル画像所見に一致した。【結論】われわれが施行した皮質Myelin Mappingは、1次視中枢への軸索投射を反映した結果であることが拡散テンソル画像の結果と併せて示唆された。1)Bock NA, Hashim E, et al: Neuroimage 65 : MRM, 62, 1~12, 2013.2)Glasser MF and Van Essen DC: J Neurosci, 31, 11597 ~616, 2012