[O-1-021] 脈波同期併用3D TOF MRAによる頭部血管壁の評価
【目的】脳動脈瘤や周囲親血管の動脈硬化の程度は、クリッピング術やコイル塞栓術への治療方針決定の因子でもある。我々は動脈血管の動きに着目し、脈波同期併用3D TOF MRAによる拍動での血管の動きを通し、血管壁の硬さを表現できると考え基礎的検証を行った。【方法】使用機器はMR装置:INTERA Achieva 3.0T Quasar dual、解析装置はAze Virtual Place fujin。循環装置として血液ろ過装置CHF-1型を使用した。1.ゴム風船の両端にチューブを通した模擬血管ファントムを作成。ファントム内へ循環装置で水を流し、脈波同期3D TOF MRAを撮像。拍動の有無でのゴム風船の動きや、ゴムを硬くした部位での動きを視覚評価した。2.同意を得たボランティアにおいて、一心拍内で4phaseのデータを取得し、血管壁の動きを想定するための撮像条件を求めた。3.得られた血管像のcine表示で、MIPやVRでの表示方法について検討した。【結果】1.拍動のない定常流速で流した場合、模擬血管の動きはみられず、拍動を伴った場合には収縮を表現できた。また壁を硬くした部位では動きが少なく、硬くしていない部位と違いがみられた。2.撮像はtrigger収集より、retrospectiveで再構成することにより、phaseによる周囲信号の低下もなく、またFAやtone start angleを抑えることにより、末梢血管の差もさらに小さくなった。3.各phaseによる血管の信号値でウィンドウ条件を固定し、cine表示することにより血管の拍動イメージングが良好となり、臨床で有用な症例もみられた。【考察・まとめ】血管壁の評価を行う場合、血管内の信号差が大きいと壁の正確な評価が困難となるため、血管全体やphaseによる信号の差を少なくすることが重要である。Trigger収集では心拍間の縦磁化の回復のため、信号の差が大きくなったと考えられ、retrospectiveで連続収集を行う必要がある。本撮像法は拍動に伴う血管収縮の動きを表現することが可能であり、血管壁の評価に繋がると思われる。