[O-1-027] 悪性リンパ腫の特異的画像所見 ~中心性壊死を伴わない病変の1HMRSでの高いlipidsの検出~
目的:悪性リンパ腫と膠芽腫の画像上の鑑別は時に困難である。今回、われわれは悪性リンパ腫の特徴的所見を解明するために、proton MR spectroscopy (1HMRS)のlipidsに着目し検討した。対象と方法:2007-2013年に加療を行った悪性リンパ腫26例のうち、造影後T1強調画像にて中心性壊死を伴わず、1HMRSにより有意な結果が得られた13症例を対象として、同時期のglioma患者で、明らかな中心性壊死を伴わない患者7人(glioblastoma 2、anaplastic astrocytoma 2、anaplastic oligodendroglioma 1、diffuse astrocytoma 1、pilomyxoid astrocytoma 1)と比較した。1HMRSは術前に3テスラMR機器にてPRESS法にて施行し、lipidsはshort TEで判定した。拡散強調画像 b-1000とb-4000からpparent diffusion coefficient (ADC)を測定し検討した。結果: 悪性リンパ腫では全例で高いlipidsのピークが検出された。一方、central necrosisを伴わないglioma患者ではlipidsのピークは検出されないか、されても小さいピークであった。また、拡散強調画像 b-1000とb-4000から求めたADCは悪性リンパ腫において有意に低かった。1HMRSでのlipidsの検出の有無は、ADCと比べて特異度が高かった。 考察:リング状増強効果など中心性壊死が認められる腫瘍では1HMRSでlipidsが検出される。悪性リンパ腫ではapoptosisや細胞内の脂肪滴などがlipids検出の原因と報告されている。結語:中心性壊死を伴わない病変の1HMRSでの高いlipidsの検出は悪性リンパ腫の特異的画像所見と考えられた。一方で、central necrosisの所見がない状態でlipidsの検出が低いことは、悪性リンパ腫を示唆しない所見として重要であると考えられた。