第42回日本磁気共鳴医学会大会

Presentation information

一般演題

骨格筋-MRS

骨格筋-MRS

Thu. Sep 18, 2014 4:10 PM - 4:40 PM 第2会場 (3F 源氏の間東)

座長:犬伏俊郎(滋賀医科大学 分子神経科学研究センター)

[O-1-033] 13C-MRSを用いた高強度運動後の筋グリコーゲン回復動態の評価

高橋英幸1, 元永恵子1, 近藤衣美1, 大澤拓也1, 塩瀬圭佑1, 亀井明子1, 川原貴2, 田口素子3, 丸山克也4, 瀧澤修4 (1.国立スポーツ科学センター スポーツ科学研究部, 2.国立スポーツ科学センター メディカルセンター, 3.早稲田大学 スポーツ科学学術院, 4.シーメンス・ジャパン株式会社)

【背景】骨格筋のグリコーゲン(Gly)は、高強度運動を継続するための主要なエネルギー源であり、その枯渇が運動パフォーマンスの低下をもたらす。したがって、次に続く運動で高いパフォーマンスを発揮するには、できるだけ速く筋Glyを回復させる必要がある。我々は、これまでの研究において、13C-MRSにより非侵襲的な筋Gly定量が可能であることを報告した。本研究では、筋Glyを低下させた後に、異なる量の糖質摂取を行った場合の筋Gly回復動態の違いを評価する上での13C-MRSの有用性を検討した。【方法】被検者は健常成人男性5名とした。1時間半に及ぶ、疲労困憊をもたらす長時間・高強度自転車運動を実施した後、1日あたり(3食で)5g/kg BWまたは10g/kg BWの糖質摂取となるように調整した食事を摂取させた。13C-MRS測定は、運動前、運動直後、4時間後、12時間後、24時間後に、右脚外側広筋の同一部位を対象として繰り返し実施した。13C-MRS測定には3Tの超電導MR装置(Magnetom Verio, Siemens社製)および直径10cmの13C-1H表面コイルを用いた。13C-MRS測定パラメータは、TR=200ms、積算回数=4,500、NOEとプロトンデカップリングを用い、データ収集時間は15分であった。被検者の筋と同じ断面積の円柱状基準Gly溶液の測定データと比較することにより筋Gly濃度を算出した。【結果】運動により筋Gly含有量は、運動前値の31.3±19.5%まで低下した。運動後0~4時間、4~12時間、12~24時間の回復速度は、糖質5g/kg BW摂取時が5.6±3.3、0.7±0.2、1.5±0.9mM/h、10g/kg BW摂取時が4.4±2.6、2.1±0.6、1.2±0.5mM/hであり、両者の間に明らかな差は認められなかった。【結語】13C-MRSにより運動後の筋Gly回復の評価が可能であり、本研究で行った運動様式では、1日あたり糖質5g/kg BW摂取と10g/kg BW摂取で筋Gly回復に顕著な違いは現れない可能性が示された。