[O-1-041] Gd-EOB-DTPAのtransporterであるOATP1B3の発現はWnt/β-catenin signalと強い関連がある
【目的】OATP1B3はEOB・プリモビスト造影MRI(EOB-MRI)における主要なtransporterである.近年、遺伝子発現解析を元にした肝細胞癌のsubclass分類にも注目が集まっており、今回我々はEOB-MRIを用いた新たなsubclass分類の可能性についてOATP1B3の発現を介して検討を行った.【方法】臨床検体を用いてOATP1B3の発現と各種転写因子およびWntの標的遺伝子群との発現解析を,定量RT-PCRおよび免疫染色を用いて検討を行った.また, GSK3βの阻害剤であるLiClを用いて,培養細胞株でのWntの活性化と遺伝子発現の関係についても検討を行った.最後に,Wnt/β-catenin activated subtype HCCのEOB-MRIによる検出可能性を,腫瘍の相対的増強効果RER(=SInodHP/SIparHP / SInodPRE/SIparPRE)を用いて検討した.【結果】 mRNA発現および免疫染色での検討から,OATP1B3の発現とWntの標的遺伝子群,およびβ-cateninの発現が強い相関を持つ事が示され,培養細胞を用いた実験において,LiCL付加によりOATP1B3の発現が増強することが確認された.これらのことから,OATP1B3の発現とWnt/β-catenin シグナルの間には強い相関があることが示され,OATP1B3陽性肝細胞癌はWnt/β-catenin activated subtype HCCの一部である可能性が高いと考えられた.RERのCut-offを0.9と設定することで,Wnt/β-catenin activated subtype HCCを,感度・特異度ともに約8割で検出することが可能であった.【結論】OATP1B3の発現はWnt/β-catenin signalと強い相関がある事が示された.EOB-MRIによりWnt/β-catenin activated subtype HCCの一部が検出可能と考えられ,EOB-MRIは今後の分子標的治療の時代にも有効な画像検査法であると考えられる.