第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

肝臓-EOB

肝臓-EOB2

Thu. Sep 18, 2014 10:20 AM - 10:50 AM 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:斎藤聡(虎の門病院 肝臓センター)

[O-1-042] Gd-EOB-DTPAの腫瘍周囲取り込み低下域の検討

松永敬二, 井上優介, 小笠原豪, 藤井馨, 島田理恵, ウッドハムス玲子, 山根拓郎, 大塚亜沙未, 鈴木文夫, 下野圭一郎 (北里大学医学部 放射線科学(画像診断学))

【目的】 EOB造影MRIで肝腫瘍周囲肝実質の増強効果を検討した。肝細胞相の腫瘍周囲低信号の頻度を腫瘍種別に評価した。また、動態像を用いて腫瘍周囲血行動態変化の有無と腫瘍周囲低信号との関係を検討した。【方法】  2013年10月から12月までに肝腫瘍を有するか疑われてEOB造影MRIを施行した症例を対象とした。最大径1cm以上の肝結節を評価対象とし、局所療法後の領域に含まれる結節は除外した。これらの肝結節の鑑別診断を、病理、典型的な画像所見、臨床経過から行った。1.5T装置を用い、Gd-EOB-DTPA(0.1 ml/kg)を投与した。造影前、静注30秒後(動脈相)、60秒後(門脈相)、120秒後(遅延相)および20分後(肝細胞相)に呼吸停止下で3D SPGR画像を撮像した。PACSモニター上で、動態像から腫瘍周囲の血行動態異常を、肝細胞相から腫瘍周囲の低信号域を視覚的に評価した。腫瘍周囲低信号と腫瘍周囲血行動態異常の双方を有する例について、両者の広がりを比較した。【結果】 92症例に168個の対象となる肝結節がみられた。疾患の内訳は、肝細胞癌29個、肝転移29個、血管腫38個、嚢胞40個、dysplastic nodule(DN)あるいはearly HCC(eHCC)23個、その他の腫瘍9個であった。また、肝転移の原発巣は、消化管23個、膵臓1個、胆管5個であった。腫瘍周囲に低信号域がみられたものは、肝細胞癌で6個(20%)、肝転移で17個(59%)、血管腫で0個(0%)、嚢胞で2個(5%)、DNあるいはeHCCで0個(0%)、その他で5個(56%)であった。腫瘤周囲に血行動態異常域がみられたものは肝細胞癌で6個(20%)、肝転移で26個(90%)、血管腫で9個(24%)、嚢胞で4個(10%)、DNあるいはeHCCで0個(0%)、その他で5個(56%)であった。腫瘍周囲の低信号域と血行動態異常域の双方がみられた結節は29個あり、そのほとんどで低信号域は血行動態異常域と同じか内部に含まれていた。【結論】 様々な腫瘍で、腫瘍周囲肝実質にGd-EOB-DTPAの取り込み低下域が確認できた。腫瘍の種類により出現頻度に差があり、また血行動態異常域との関連が示唆された。