[O-1-043] 3T装置と1.5T装置におけるEOB-MRIの肝脾信号強度比と肝実質増強効果の比較
【目的】1.5T-MRIにおけるEOB肝細胞相での肝実質の増強効果の指標として,肝脾信号強度比(Q-LSC:Quantitative liver-spleen contrast ratio)が良い指標とされており,ICG15分値あるいはChild-Pugh分類と相関するという報告がある.しかし,3T-MRIにおいて肝機能が良好にもかかわらず, Q-LSCが低い症例を経験することがある.EOB-MRI肝細胞相におけるQ-LSCの1.5T-MRIと3T-MRIで違いを検討すると共に肝実質の増強効果についても検討した.【方法】2010年7月-2012年12月に3T-MRIで撮像が行われ,そのうち前後1年以内に1.5TでもEOB-MRIを撮像した連続104症例のうちChild-Pugh scoreに変化がない73症例を対象とした.Child-Pugh score5点が57名,6点が14名,7点が2名であった.使用機器はGE社製1.5T,3T-MRIを用いた.Gd-EOB-DTPAは0.1ml/kgを投与し,造影前,肝細胞相の撮像シーケンスは1.5TでLAVAを3TでLAVA-FLEXを用いた.造影前と肝細胞相の軸位断像で肝実質,脾実質に垂直方向に同じ高さになるよう約100mm2のROIを設定し信号値を計測し,造影前後のQ-LSC(Q-LSCpre,Q-LSChp),肝脾の相対的増強効果Relative enhancement(RE-L,RE-S)を以下のように算出した.Q-LSC=SIliver/SIspleen,Relative enhancement(RE)=(SIpost-SIpre)/SIpre.1.5Tと3Tでのこれらの値をpaired-T検定を用いて比較検討した.【結果】Q-LSCpreは1.5Tで1.40±0.24,3Tで1.15±0.22とこちらも3Tにおいて有意に低い結果であった(P<0.01).Q-LSChpは1.5Tで1.84±0.43,3Tで1.72±0.60とこちらも3Tにおいて有意に低い結果であった(P=0.04).RE-Lは1.5Tで0.85±0.28,3Tで1.09±0.39とこちらは3Tにおいて有意に高い結果であったが(P<0.01),RE-Sは1.5Tで0.42±0.16,3Tで0.43±0.19と3Tと1.5Tにおいて有意差は見られなかった(P=0.56).【考察・結論】Q-LSChpは3Tで有意に低いが,RE-Lは3Tで有意に上昇する.Q-LSChpが3Tで低いのは、造影前の脾臓の信号値が3Tで相対的に高く,Q-LSCpreが3Tで低いことに起因すると考える.3Tにおいて肝臓の増強効果の指標としてQ-LSChpを1.5Tと同様に評価することは難しく,Q-LSChp造影前の画像とあわせて評価する必要があると考える.