[O-1-059] 膵管癌の描出におけるhigh b-value拡散強調画像の有用性
【目的】膵管癌の描出におけるhigh b-value拡散強調画像の有用性を検討する。【方法】拡散強調MRI(b=500, 1000, 1500 and 2000 sec/mm2)が施行され、組織学的に膵管癌の診断が得られた30例を対象とした。それぞれのb値の拡散強調画像において、膵管癌と膵実質(頭部側および尾部側)の信号強度を測定した。信号強度の膵管癌/頭部側膵実質比と膵管癌/尾部側膵実質比を算出し、b値による違いを定量的に評価した。また、膵管癌の信号パターンをType 1(境界明瞭な高信号)、Type 2(尾部側実質と境界不明瞭な高信号)、Type 3(両側実質とも境界不明瞭な等信号)に分類し、視覚的に評価した。【結果・考察】いずれのb値の拡散強調画像においても膵管癌は膵実質と比較して高い信号を呈した(P<0.001)。膵管癌/頭部側膵実質比は、いずれのb値においても有意な違いは見られなかった(P=0.158)。膵管癌/尾部側膵実質比は、b値により有意差が認められ、b=1500はb=1000より、b=1000はb=500の拡散強調画像よりも高かった(P=0.003)。b=2000とb=1500との膵管癌/尾部側膵実質比に有意な違いは見られなかった(P=0.285)。視覚的評価においては、b=500よりb=1000(P=0.008)、b=1000よりb=1500(P=0.002)の拡散強調画像でType 3の頻度が減少しType 1が増加した(表1)。【結論】b=1500程度に設定した高いb値の拡散強調画像は、膵管癌の描出能が向上する可能性が示唆された。